聖エクスペディ
遣はしの儀礼に使はれる。この聖像を逆さにして崇めなんとか言ふと、死者の霊がアレへ赴くといふ信仰があるさうな。をっさんはハッカーの守護聖人の前に烏を踏んでゐる。
バロンサメディ の表向きの聖画が聖なるエクスペディらしい。ヴードゥーはー、土人から、コンゴの人、次にフォン人とおまけ(アフリカ西部)、他欧州系の犯罪者とか、「スチュアート戦争」といふ、17世紀にスコットランドでおきた戦争で出た難民、と言ふ虐げられる皆さんと凶悪な搾取をする旦那様、といふ関係がしっかりしてゐるので、表向きの聖画と実は―、がしっかりしてゐる。ただアボメイの王様が抵抗して怨霊と言ふ発想はないので神格化されたらしいゲーデ大明神は葬式の喪服のやうな黒い格好で白塗りの顔をして卑猥なことをこく。お祭りに使はれるのが十字架に頭蓋骨とかちんこ像とか、であんまりキリスト教関係のアレがない。
妥協すると、死を司るのはマドモワゼル・シャルロットの方が。ゲーデが死神になったのもオカルティズムの可能性が高いと言ふのが檀原照和説で。
ゾンビ さう言ふわけで、コンゴの辺の「なんぞスピリチュアルな者」を指す語で使用される。檀原照和先生説で、ガンガ・ズンバも同系の可能性がある。
ザンビ ヌザンビは、コンゴの人の「キリスト教で出てくる有難い神様で、ンプンゴ(神様)ぢゃない奴」を指す語としてまぁ一応使へ無いことはないのでさう言ふ風に使はれる。なほサンテリアやヴードゥーでは「多分」創世の何かと、ロアやオリチャのみなさんが一応併存する。その創世の物オロルンだかマウ・リサは絶対性がない。
フランソワ・マカンダルはイスラムの人。他コプト教と呼ばれるブラックアフリカンキリスト教とイスラムのアフリカへの傳播と分布の関係から、フォン人とかヨルバン人とかは、絶対者の存在を知ってたんぢゃねえかと言ふのが檀原照和説。マリ共和国の端っこにあるトンブクトゥは11世紀までイスラムの西のメッカだったし。
小泉八雲は、ハイチやジャマイカ、サンドミニクでは、ゾンビと呼ばれるお化けがその辺でクロンボどもを恐怖に陥れてゐた。しかもゲーデやバロンなんたらは、死を司ると言ふより子造りの神で、お茶目も担当する。あの辺が死神として出るのはキリスト教バイアスであると言ふのが檀原照和説。『ヴードゥー大全』にパパ・ドクの「ゾンビにするぞ」は未収録。ドゥーピーと言ふハイチなどのおばけがー。 オービアと呼ばれる、ドゥーピーを遣はすセンディング専門の信仰があった。