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インクバスが励む

 レジナルド・スコットによればブラウニー系の大地の精霊で、夜中にミルクを捧げる儀礼がどうたら。といふのをキャサリン・メアリー=ブリッグズ大先生は参照してゐるのだが、ローズマリ・エレン=グィリー大先生は、スケプティカルでスピリチュアルなものに当時としてはかなり懐疑的なスコット大先生がインク―ブスなる者は存在せず、お腹のガスが脳みそへずっこんずっこんしてさう言ふ妄想を出すと言ふのを引く。うにゃー。

使ひ魔をさう言ふのに使ふのは、既に手垢付きまくりのあれらしい。えー。ジョン・ディー大先生もマディニさんといふファミリアさんをさう言ふ風に使ってたらしい。えー。

 イタリアルネサンス期の悪魔祓ひの人ジローラモ・メンギによれば、Demonに階級があり、アウトカーストな最低階級のDemonインフィモ・ショーロ(infimo choro)はインキュバス的な真似をする。その上の1炎系、2大気系と来て三番目に不道徳と性愛を吹き込む大地の精霊テレオ(terreo)がゐる。ランク五デーモンとして鉱山労働者をいびったり石を降らせたり遣ひ魔やったりするソッテラネイ(sotterranei)が、地下の悪霊とされる。最高のDemonルチフォゴ(lucifogo)が六番目なのは謎の偶然だが、ローズマリ・E=グィリー大先生の本を訳す人は、Devilの方に魔王を当て、Demonは悪霊と訳す。あ、ゲーテの『ファウスト』でコーボルトと同じく土属性で家の手伝ひをするアレが。

 恐龍時代からのさう言ふ巨獣に襲はれたトラウマがどうたらと南方熊楠が言ふ傳承で、「鳥の足をした魔物」があるのだが、
 ハンガリアンの何ぞLiderc(REグィリー『悪魔と悪魔学の事典』487頁では「リダーク」TEAS事務所著『萌える!淫魔事典』56頁では「女」もゐるとして「リデルク」)も、死の豫兆として火の玉になるほか、インク―ブス的なものはガチョウの足とか、家の精霊としてのソレは「裸の鶏」であるさうであるが、1970年代だかの北米のラテン系の皆さんが語ってゐたアーバンレジェンドでも鳥足モチーフが出る。

 修道院から帰られたの。きっと素敵におなりだわぁ(『ルパン三世 カリオストロの城』)。キリスト教的なミソジニーの関係。魔女狩りの狂気としての、魔女でない言訳で土属性のインキュバス

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