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蜘蛛とかひきびととか

『指輪』の大先生は、南アフリカのど田舎で蜘蛛に咬まれ生死の境を彷徨って以来それがトラウマになったと同時に、結婚して作った子供へお話を聞かせると、蜘蛛の描写で息子Bがビビるので、けっこう凶悪なクモを出しまくったといふ。

 ウンゴリアントはさう言ふ経緯で、ある種特別「畏きもの」であった。スメアゴルさんは、零落しきってゐてもホビットさんなので、さういふ神の恩寵を受けるわけであるが、その後神の恩寵を受ける機会を剝奪されたオークの人は、シェロブさんを「シーロブザグレート(太母シーロブ)」と称して恐れ、モルドールでは時々、シェロブ大明神の飯が無くなった際の、非常食(なのでオークはあまり蜘蛛のごはんにならない)に具される。

 北欧神話でのドヴェルグは、イミルの蛆がどうたらで発生してゐるのだが、さう言ふわけで御大が、若干凶悪な種族としてのドヴェルグと、正義の一族であるドワーフにしとけを分ける際、悪い部分を出してオークをでっちあげ、その下層民通称ゴブリンを指してマゴットと称する。

 話はそれで終ったと思ったら、北欧からUK辺りにかけて、「蜘蛛と侏儒(種族的な)を同じ語で表現」と言ふ謎ロジックがあったと、山本史郎訳の、“My precious”を「愛し子チャン」と訳し、瀬田貞二訳への取材はしてある『ホビット』に書いてある。それによれば、ウェールズとかのCorも「こびと」と蜘蛛の両義があるとか。さらにドワーフが蜘蛛の巣に捕らはれるのは、蜘蛛の網を指す古英語「Dverg nät」と何となく関連付ける、へくそしょーもない駄洒落が何となく説がある。
あー、「日本の先住民を指す際のツチグモのモデル」はー、實吉達郎説で、地べたを這ひ回る系のクモさんが日本にゐないんで他のをアレしたらしい。荒俣宏によれば「つちごもり」「つちぎみ」の転訛かと言ふ。

 ホビットの耳は原作者の描写において、尖ってをり、エルフはざっくりエルフ語での「葉」を表す語と耳に関連が付けられるものの、いはゆるエルフ耳を御大が具体的に作ってるエヴィデンスがない。てふか尖り耳はある種、偉い人の耳であった。なほ日本語でも芽と目 歯と葉 耳と実 花と鼻のやうな、植物と感覚器官の関係を付けるのがあるがかういふのはロジックでっち上げのモチベとして普通。

 Glede 「炎」を指す古英語で死語。現代英語でのGledeは、Glideから出た猛禽!!の一種を指す語。飛行するものを火属性にする五行説と謎の符合が。
で火性の数字は2と7であるが、白川静説で七は刀を指すのの使ひ回しで、シミター使ふオークがバルログをガーシュ(炎の意の暗黒語)と称してゐる件との関連をでっちあげ、うーん。

 オークさんはトロルを従業員として使ってゐる。
 『某 ゆきてかえりし物語』によれば、トロルに関するそれは、お国の階層に関するものであった。しかも下層民のそれに取材してでっち上げられたトロルの喋り口は、よいこに大人気であった。

ハーフトロル トロルさんは人間、オークと交配が可能らしい。

ドルグ~ウォーゼの、オークを指す「ゴルグン」ドルグを指す暗黒語「オゴル・ハイ(強き人間)」うーん。しかもドルグさんはオークの起源の可能性が仄めかされる。野人としてのそれと、エント語でのブラールム(「目的もなく木を切る」を指すラールムから、さう言ふ人の意) うーん。

曲がり足の手長オーク 水中での行動に長ける。

トロル系が,主人公あるいは主要登場人物の策略で喧嘩
 『いさましいちびの仕立て屋』 の次に、エドワード・ヒューゲッセン・ナッチブル=ヒューゲッセン(Edward. Hugessen. Knatchbull-Hugessen 山本史郎訳では「エドワード・ヒュージセン・ナッチブル=ヒュージセン」)作による児童向けのお話『Pusscat mew』(山本史郎訳『ニャオ猫ちゃん』)といふのがあるさうである。山本先生は古風に「鬼」と訳してゐるが、そのプスキャットミウをググってみると、出てくるのはOgre。

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