• エッセイ・ノンフィクション
  • 創作論・評論

シン・北の国関係

Up in the North along way off

 The donkey got The Whooping cough

遠くの遠くの北の国 ロバがやってる百日咳
縄跳び歌の断片らしい/児童伝承なので資料がない/マザーグースはライムが命/アレはまづ谷川俊太郎訳をデフォに/個人的には堀内誠一画が好き/資料になるのは平野敬一氏の筆記/さう言ふ奴の挿絵作家は後に/ライムを訳して作曲も依頼に/和田誠の名が出てこない/和田訳もこれはやってない/慣れない脚韻はこれでおしまい

ハイパーボリア

 クラーク・アシュトン・スミスの『七つの呪い』(ゲッシュときたか)で、アブホース、アトラク・ナクア等がゐる古代王国の名前。クトゥルフ神話を作ったHPLが可愛がってゐたロバート・E=ハワードの『英雄コナン』では、剣と魔法物のお約束でgdgdになり、西の陸地が沈んでアレしたハイパーボリア改めハイボリアンな時代、キンメリアの兄さんコナンが、剣一本で娘を犯し蛮人を率ゐて村々を襲ひ魔道士!そいつは荒俣宏が作った語なんだ(鏡明)が召喚だけする怪物を締めアキロニアの王様の首を物理的にぶった切ってそこの玉座へふんぞり返る。

ジョージ・マクドナルド『北風の後ろの国』北風がボレアリスで、ソレのヒュペルだから後ろ。えーと。

ヒュペルボーレオイの国は、天に最も近い処で、世界の蝶番のやうな場所(『博物誌』197頁)。地球は球体だと知ってゐるプリニウス大先生は、なんかすげえいろいろ参照して、宇宙の中心にある地球のさう言ふので、「星の運航の極限」であるとこいてゐる。
 『幻獣大全』p52で、かの地にゐる説もあるアトラスは、地軸なんではと言ふ可能性が。

 ヒュペルボーレオス
 スキュティアの北、トラキアの遥か彼方にある楽園らしい。ジュディス・A=マクラウド『世界伝説歴史地図』によれば、スウェーデン(270頁)かも。同著ではストラボンの地図にあるソコは、アジアと同一視されると指摘(34頁)してゐる。ロバートEハワードのハイボリアンと真逆で他の欧州とかアフリカ関係に関するストラボンの知識は異常に正しいのである。なほ、プリニウスによれば、アシアのアッタキ族はヒュペルボーレオイの人と大変似た習俗その他を持つ。
 かの国の、ボレアースといふ悪意ある北風の吹くところのさらに南にあるプテロポロス(羽毛の雪)地方にはリーパイオス山と言ふどでかい山があって交通の要害となってゐる。その頂にはグリフォンとアリマスポイ(ヘロドトスによればスキュティア語で「アリマ(一つの)」「スプー(目)」また「アリ(一つの)」「マスポス(目)」妥当な説では「馬が好き」)族が激烈な抗争を展開してゐる。さらに、海峡には女性の形をした、岩だらけの崖があり、昼は別にいいのだが夜になると起き上がってくる船を粉砕する。プリニウスが「ここへの航行は昼だけ」と言ってゐる(ジュディス・A=マクラウド『世界伝説歴史地図』270頁には書いてある)。

 ヘロドトスによればさらに南方のスキュティア人の国の辺には、売り用の農作物拵へてる系スキュティア人と農業従事者スキュティア人がゐるさうである。ややこしいわ。

 そこには、すべての川に通じるオケアノスから出るエーリダヌス川が流れてゐる。白鳥がおびただしくゐる川岸にはポプラが生ひ茂り、琥珀を産出してゐる。太陽が六か月ほど照ってゐる(『博物誌』197頁)とか、白夜みのある記述が出る。

 土人は異常な長命で、千年ほど生きると言はれる。朝に種をまき、正午に収穫し、なんか洞窟で甘い実を食べると言ふ。その描写はシャングリラに激似ならしい(ジュディス・A=マクラウド『世界伝説歴史地図』271頁)。

 魔道王アバリス 黄金製の魔道ジャヴェリンをアポロンから授かる。乗って飛べるソレでギリシャへ行ったアバリス陛下は、スパルタの疫病を何とかしたとある。(幻想地名事典284「ハイパーボリア」 ちな「ヒュペルボレイオイの国」P304がある)
ヘロドトス『歴史』岩波ワイド版の中333頁によれば、アバリスさんは神から授かった矢に乗って飛び回ったと言はれる。他はアポロンの霊感を得て矢を携へ世界へ託宣を授け回ったとか、本編29頁によれば彼は飯を一切食はなかったくらゐで、ヘロドトスさんが興味ない上、他に彼に関する資料がないらしい。

 そこでの王はアポロンを拝む神官王ボレアデス(ボレアスの息子さん)とされる。彼ら(参人)はいはゆるプリーストキングとしての祝(ほふり)様なので、ロバを屠ってアポロンへ捧げる(『世界伝説歴史地図』270頁)。ヘロドトスによれば、デロス島では、かの地から、なんぞを携へてやってきたヒュペロケ&ラオディケと言ふ娘さんと、後に士大夫ぺルペレエスとなる5人(固有名詞が不明)が、そのまま居ついて娘さん二人の方がお亡くなりになったので、 さう言ふのはまづヒュペルボーレオスの近所の部族へ渡し、ソレを隣へ、でスキュティア~隣国~アドリア海~マリス湾~エウボイア島~陸路~カリュストス~テノス~デロスへとやったと言はれる。またかういふ経路で、いったん行ってた極北の地から帰ってきたアポロ&アルテミスの御伴でやってきた娘さんオピス&アルゲについて、リュキアのオレンとやらが作った賛歌が捧げられる。計四人の娘さんの墓が、アルテミスのお社の近所にある(ヘロドトス『歴史』四巻三十四章)。
 経路の関係が、いはゆる琥珀の道、バルト海でとれる琥珀を人から人へでギリシャまで運んだ青銅器時代の記憶が神話化されてるんではないかと水谷智洋先生が平凡社刊『世界大百科事典』24巻90頁で書いてた。てふか、執筆者の名前で澁澤龍彦とか荒俣宏とかが。

 ヒュペルボーレオイ人らしいレートー(LETOは石の意。光り輝く巨人とされる 隕石かなんか)はゼウスとやって二柱の神をひってどうのであるが、冬の三か月をここで過ごすアポロンの、父親の嫁ヘーラーの園はかの地にあるとも言はれる。

 北だか北西とか東にあるヒュペルボーレオイはアトランティスみが指摘されててー。
 ヘリオスの後継をアポロンと交換してご本尊にしたミトラス教では、儀礼でタウロマキア(牛殺し)があってー、石田英一郎『河童駒引考』(岩波文庫の奴p92)によれば、アトランティス(クレタ説をとる)での王陛下が何人かでこん棒と輪っか系のなんか持って牛(一応家畜)をぶっ殺して血を然るべき柱へ塗る(牛血をワインに混ぜて飲むとかはいいや)、我々は法律を守るぞマニフェスト儀礼は、なんぞの資料(クノッソス他で似たやうなお祭りがある)を参照してるんではないかとある。えーと。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する