江戸時代。他の領主に対して優越権を持つ最高権力者が江戸にをり、庶民は字の読み書きが結構できたり文化も高かったり(貸本のデリバリーとかはいいや)で、世界に誇るパックスがあるけども辺境にはなんか出る頃。
関八州見回り同心とかが出るやうなおら方(長野の諏訪以南あるいは三河の国と遠州が入る)はなぁ、折口信夫説で魔道戦士の田舎 これはいいわ、宮本常一説では斬ったはったに嫌気がさしたもののふが、ぢゃあ田舎で開墾せるかってふてやったところなんだってな。
・・・ファミリーロアかもしれんのだが、くろいの名字は、商人であった一族の一部がさういふ道を通って名古屋へ商品の仕入れに行く際の、安全を確保するため、殿様へ賄賂を送りまくって帯刀のオプションで貰ったといふ。さうして身上をでかくしたくろい一族は、言はばアナルコ・キャピタリスムに出て来る大企業のやうな機関として地元で機能してゐたらしい。
徳川政権は関ケ原の合戦その他で他諸藩に対する優越権を持ったわけだけれども、征夷大将軍は、鎌倉時代からトライバルなコミュニティを纏め、京都とのハブ機関としても機能する職能になってをり、そんな関係になった頃からそのポストをなんとなく最高権力者として使ふ人が出てた筈。
「せんずわり」(「千頭割」の漢字表記がある本があるけど原典『耳嚢』ではひらがな)に関する伝承でも、道端に、正当防衛で名のある盗賊の大親分が死んでゐるが、当時はその辺に死体が転がってたらしい。遊郭で、おねいさんがなんかやる時に、切った指は死体で何とかしたとか何とかって杉浦日向子先生が。
船― 江戸湾への侵入を防ぐため、マストが一本とか構造をいろいろ規定された結果、船での貿易は即ち大冒険であった。アドヴェンチャーに投機の意があるとかである。
なほ、押井守『宮本武蔵 双剣に馳せる夢』では、ロールモデルである支那の騎馬戦士と百姓関係の兼業弩兵に、乗らない士大夫といふ文化が、弩が使へないなどいろいろでアレした果てに騎馬の士大夫といふ欧州のナイトみたいなのが独自に発達した秋津島で、馬フェチ戦士宮本武蔵がどうたらと説く。なほ、馬肉最近食ってないけどとか日本で馬乳は傳統料理としてあれとか馬レザーが―とか、馬に関してのいろいろが欧州に比べ、かなりしょぼいといふ点があるものの、宮崎駿説ではジャパニーズラメラ―アーマーとヨーロッパのプレートメイルアーマーは共通して藝術品ですらある過剰な装飾が。『へうげもの』で織田信長公がマクシミリアンナントカの甲冑を着るのは違和感ない。
その「駄獣=馬」文化圏人でかつ、西日本での馬文化がどうたらを説くと言ったら諸星大二郎(東軽井沢と東京がソレ)『暗黒神話』が。さう言へば天下分け目な戦を代々やってた関ケ原は牛文化圏。
『もののけ姫』で、中国地方に設定されるプロレタリア部落での駄獣は牛で、東北のエミシなアシタカ様は、その辺のいきものを駄獣にする文化(多分乳汁からお肉まで徹底的に使ふ)がどうの。馬は出ないことはないんだけど。さう言へば解d(自主規制)
「時速三キロで二日がかりさ。恐るべき後進性だよ」飛行機の運搬に牛を使ふ『風立ちぬ』での三菱のナニは愛知県。
沖浦和光『幻の漂泊民サンカ』によれば。
本居内遠『賎者考』のカテゴリーの所に、著者御存命の頃はさすがにゐた筈のサンカが無い件について、「当時は存在してたけど数が少なすぎたので漏れた」説を推す沖浦先生は、可能性のある諸説の一つに、「炭焼きやタタラものなどの、特に問題のない人視」してゐたのを上げる。竈門一族はコンプラ的にOKでロマンティックな職業についてた。普通、御神楽は竈門パパみたいに一人で舞はないよなさう言へば(「説得力が欠ける」とは言ってない上にああ言ふ形式は前からあったらしい)。
『上記』「うへつふみ」ぢゃなかった気が。あーぅー。成立は幕末なんだよな。13世紀に大友能直(おほともよしなほ)が編んだとされる。結構面白い筈。
和算家。ノマドな生活をしてゐる。適当な護身術を持つ。鉄尺を使ふとか。多分微妙な形で、計算機として使はれるでいい筈なので他の世間様に便利になんかされたりする筈。
殿。貧乏旗本の三男坊的な。領主貴族みを江戸時代で何とか。幸田露伴『魔法修行者』での九条たねみちさんみたいな趣味のある可能性はあっていい筈。
女中 『妻はくノ一』原作の方を読んでない。裏の仕事が忍者系での場合「候(うかみ)」とか「隠(なばり)」とかの名前を。『特命 転攻生』での忍者体系が参照できれば。レザーボンデージの言訳。
宗教者としての乞食。夢野久作『骸骨の黒穂』では、a在日外国人(大昔から独立した自治組織を経営。「ユダヤ人」がどうたらと一応言はれる)でb一応完全に独自の文化、風習、倫理観を持つと言ふ設定のサンカが、c乞食と密接な関係(乞食はこのお話的に、サンカの一種なのか、ただ使はれるのかは不明)を持ってゐると描かれる。こっちの乞食も巡礼と関連する。連続TV小説『おちょやん』での芝居茶屋の人と乞食の関係が使へれば。トータス松本さん演じるパパはちゃんと腐っててよい。巡礼の親子へご詠歌歌はせてお金払ふ的な人の存在。