• エッセイ・ノンフィクション
  • 創作論・評論

澁澤 時代劇

 澁澤龍彦『髪切り』
全集で、いいです
 江戸時代初期の大江戸のどっか。ど田舎者から出て来て都会の絵の具に染まってしまったお留伊さんは、パパから伝授された剣術、やはら、馬術、槍を指南する道場を開く。そんであの大火が。
 髪の毛に関していろいろあるのだが、彼女の髪の毛フェチの表現と言ふか犬神っつうてるけどモグラモチの類だ、が出るどころかそれを現出せしむる
「武器っ娘@帯刀19歳の洗い髪がッ良いんだッ!!漆黒のブルネットが艶かしくて美しくて、カリカリモフモフしたいッ!」と言ふ魂の叫びが一切出てこない。
「クッ殺」なシーンもあまり。

 オブジェクションとしての死体~。ヒロインの目を通してさう言ふものとして死体が書かれてない。

 被災地を彷徨ふナニ。なんか、アレ。この場合、異常な速度での復興が出るか、恐るべきカタクリスモ(カタストロフでいいです)が出るか、だと思ふのだが、両方が一切ない。

 あ~

 いづな使ひ えーと。ヘアコレクターは室町時代から説問題。いづな使ひが、シロアリを蟲毒として使へる可能性。『ねむり姫』で天竺冠者は極楽とんぼと尻切れとんぼといふ式神かなんかへ、ディアブロってふか独楽を教へてゐる。龍鼓

 澁澤リスペクトしぐさで、コレクターが不幸になると言ふのがあるので、夥しい髪の毛にまみれたイズナ使ひが、
「極楽じあ 極楽じあ おんあびらうんけん この髪毛ののぉ ハスハスクンカンクンカ えも言はれぬかほりがのぉ」
 と言ってゐると、なんか死ぬ、とかで多分
「彼は髪の毛で綯はれた綱により首を括ってゐたが、その顔は悦に入り、周りに夥しい白濁した液が」
とかは無しでいいらしい。ポリコレに照らして社会派なさう言ふのに行ってもいいと思ふんだけども、大先生は一ミリも行かなかった。

 女性の妖怪石ぶんぶー(「石ぶんぶう」や雁落 とかはスリングショットの日本語)はゐない問題。三國志だか水滸伝の投石おねいさんは女性。スリング使ひの人も『ダーククリスタル』とかを出すまでもなく女性。なほ、伊勢新九郎が奔ってた頃の朝鮮で、お正月に行はれた水田の投石儀礼は、野郎のジェンダーロールとして道具を使はない(中沢厚『つぶて』)。娘の投石は、「あの女すげぇ」と語られ、「後ろにスタンドバイミ―なゲニウスロキがポルターガイストを」の言訳がつかんらしい。『童夢』以来の「投石による超能力の表現」(エッちゃんは止める方)や『エスパー魔美』での「投擲を依り代にしたフォースの発現」を排して、できれば。アニメ版『扉を開けて』の魔女ねぎしみやこさんは、五百円玉飛ばすくらゐだけどもー、別に魔女で妖怪じみてないし、原作の方では彼女のトラウマな過去に出る人の方が作者の語る「自律して動き周りを混乱させる何か」だし。

 前提を確認し範囲を提示し、巧みな構成で、相手の分かる物へパラフレーズするアレンジ能力があり 相手に合はせて情報量を調整し得、相手の理解が追ひつく程度の速さで進められ、相手がわかるタームを使ひ、相手の理解を観察し、つど調整する(青田努@2016年)といふ能力は、佐々木娘が持ってゐると言ふ設定らしいのだが、その能力は佐々木パパの段階で存在したらしい、ただ彼は何とか言って使はず、娘のみへ教へる。

 『ぼろんじ』こっちは幕末。男の娘剣士が五品様と呼ばれるだけ。澁澤先生みとこーもん見てるといふ情報があった筈で、印籠は『衛府の七忍』よりは原典準拠な使用をする。

 保科正之公の良政により、異常な速度で復興を始める大江戸。の被災地から外れたところで火災前から道場を開いてゐた佐々木は、今日も、焼け跡の方付け等をやってゐるのであった。
 三尺の煙管で屈強な野郎を締めるお留衣さんそのものはホモサピのモンゴロイドの雌なのだが、お弟子からは「佐々木五品」とか言はれて崇拝されてゐる。ただ、彼女の下女は、謎のリアル五品でとか。

 五品様資料。スタトレの、ガイナン。ああいふをばさんがラウンジバーにゐると安心する。彼女が属するエル・オーリアンて聴き上手なんか。TNGの普通のクルーで選民としてのめくらであるジョーディさんがクロンボ系で、黒=耳が聡く目が悪いといふ東洋のバイアス感が。みられて興味深いっつうたってピカード艦長の(自粛)

 ぬこのミクス全盛の頃に、たぬきが資金を集め狐がなんかし、渡狼をアカオオカミ即ち犲と言ひ張り、勿論狼さんも出るとかのイヌ科快進撃物を、やってウケる可能性。江戸時代を通じて秋津島の人間居住区で犬が結構ゐたと渡辺京二先生がどっかから引く。Fiendはわんこ系で表現されたらしいとか。

コメント

コメントの投稿にはユーザー登録(無料)が必要です。もしくは、ログイン
投稿する