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サチ

幸運。サチは海のサチ山のサチのやうに捕ってきたもので、外来魂を指したらしい。
 SHACHI 私のばあちゃんは「錆びる」を「SHABIRU」と発音してゐたが、シャチでも幸らしい。オルカの人はさういふ幸運が野生の状態で泳いでゐるものらしい。
 肉吸ひ 紀州の妖怪。十五~六歳くらゐの少女の形をとって山奥に現れ、「ホーホー」と鳴くっつうか叫ぶっつうか声を上げ、火を借りて消した後、人を骨と皮だけにする。昔はシャチ玉と呼ばれる「当たった弾丸」を鋳直したもの(「実在する幸運」として持つといふ信仰があった)でもって対抗した。後の郵便屋さんはその妖怪がゐる処を通らないといけないので、拳銃の携帯を要請したさうである。でもって南方熊楠によれば、「HGウェルスとかの書いた、(宇宙戦争の)火星人類以外に同じようなものが見当たらない」てふか南方先生はえすえふも読んでた(南方熊楠全集 2巻p363)。
 柳田國男大先生の方に依れば、越後三面の辺で、「死」について「山言葉になる」はいいや、「シャチナル」と言ったさうである。また、東北のマタギ用語で、熊ほかの肉を指して「シャチノミ」、熊、カモシカ、人の血液を指して「サジラ」と言ったといふ(禁忌習俗事典 p151、p155)。柳田大先生は「サチ」を「狩猟」の意と解してゐるけどいいや。
 実在する幸運の関係で何とか。

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