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卯の月


うさ耳関係。
エオストレ大明神。と恐らく関連するレイディゴダイヴァは全裸に恐るべき長髪かなんかで馬に乗ってゐる上にウサギをモフモフしてゐる。ソースはイースター関係の南方熊楠の本だと思ったらアト・ド=ヴリース『イメージ・シンボル事典』だった。

 ゴダ 春と愛と豊穣を司る北欧の女神。裸体へ網を纏ひ、リンゴ(聖王の死と不滅を表す)を持ち、ヤギ(マスクを被った聖王)に乗り、ワタリガラス(女神の死後の神託を告げる)、ウサギ(聖王が、犬耳女神とともに追っかける対象)を伴って現れる。
 魚と関連

ディサ(Disa)傳 大昔スウェーデンで大凶作があり、病人や老人の処分まで考へられた頃、国王いろいろ考へて神慮を伺ふと、
「月の前半でも後半でもない日の、日中でも夜中でもない時、足で歩かず、馬に乗らず、車に乗らず、服を着るでも全裸でもない格好で、シグトゥナの王宮に至る、美人の処女あれば相談に乗ってくれる」
といふ、大昔アニメ「一休さん」にあった気がする神託を得る。
 それを得たヴェンガーン村の美形で賢い処女のディサだかゴア、いろいろ考へ、年中「何の月にも属せず、太陽天に停って動かぬ」ことになってる日の、満月の暮時、裸体へ網あみをひっかけ、片足を橇に、片足をヤギに載せ、王宮へGoして、荒れ地の開拓を勧めついでに、若くて面がイケてる王陛下とケコーンした。そのあとスウェーデンの二月の第一日曜は彼女のお祭りになった。

何とかロイド(LLOYD)「ペサントライフインスウェーデン」グーグル先生が一応見せてくれる。『十二支考』ワイド版の方の「羊に関するなんとかかんとか」では、少なくとも、娘さんの名前は「ジサ」で村の名前が「ヴェンガイン村」ううっ。

娘さんが「日中でも夜中でもなく、月の前半でも後半でもない日に、服を着るでも着ぬでもない姿で、足で歩かず、馬に乗らず、車に乗らず」どっかへ行くミッションはエオストレ傳でも出る。しかもディサも実在したのではなく女神様らしい。似たやうな話は北欧神話の何とかサガにもあって、ハープ奏者のアスラウグ/クラカ(カラスの意)さんは彼pから
「服を着ても脱いでもなく、断食も食事もせず、一人でも誰かと一緒でもない状態で到着するよう」命じられたので「網をかぶり、玉ねぎをかじり、犬だけを連れて」いく。玉ねぎもしかるべき豊穣神の持ち物。

ディサ大明神は結婚する妙齢の処女であるがレイディゴディヴァは女神の三相「妹」「嫁」「BBA」のうちの真ん中らしい。

 ルペルカリア祭 二月十五日の祝祭。禰宜様がヤギをささげ、しかる後にソレの皮で作った鞭を振り回して娘をぶつ。この辺はヴァレンタインデイに関連する。

 季節とは関係がないが、しかもレイディゴダイヴァ傳にみられる彼女の太ももを見たピーピングトムといふ「神罰を受けたもの」と正確に百八十度違ふやつ。
 兎児神傳 清朝勃興期の頃、福建の胡天保さん、巡検をやるイケメン上司が好きすぎて彼がやってる時のトイレへ忍び込み太ももを見る。様子の異常を見た上司、しばき倒して尋問すると、その愛を高らかにこくので、惨殺される。その後、胡さんの田舎の人の夢枕に彼が出て
「イケメン上司に道理に合った事情で処刑されました。さらに冥府で私は犯罪者なのですが罪状が罪状なので審判の場が大爆笑で、咎める者はいませんでした。ひいては私をホモの神にしてほしいんですが」
 といふお告げをこいたので、うさ耳の神ができる。
 南方熊楠は、支那の文献とか日本での「トイレの覗きで罰せられた話」を羅列し、在米中に牧師がのぞきで罰せられた件とか上げ、これが極めて特殊であると指摘する。
 南方説によれば外色(たぶん「LGBT関係 中国ではこう書く」の筈)守護の神がうさみみになったのは、雄兎がフタナリっぽいとされた可能性がある。うさ=両性具有説は西欧にもあるとかである為、男性のパブリックな正装であるカフスにボウタイと、プライヴェートな女性の格好である網タイツとかぼでーのアレとか(初期はトップレス)といふバニーガールのヘルマプロディックな格好は、容易に出てくる。

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