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ひつじをはく

ひつじ

牧野修『傀儡后』。ぴっちりタイツの方に対するリスペクトが異常な作品なのだが、はい。雄株の捕獲器に入って移動する系統と、捕獲器に生える液かなんかで出来るなんぞでぴっちりスーツ造る皆さんと他。

 ゆうきまさみ『白暮のクロニクル』での、ひつじと人死に関するいろいろは当たるでいい筈。ただ「ひつじ往生」の「さるぼとけ」、確かに柳田國男説では「吸血鬼のやうなもの」らしいのだが「未の死者とオキナガはセット」の言訳である可能性がどうだか全く不明。

 ひつじ ある程度の緯度では稲は刈り取った後の株からもっかい米が出る。本州ではコメができないが白鳥が食ふ。ここから、毛を刈り取ると再びもふもふする獣を「ひつじみたいなの」とした語源説がある。通常、栽培植物は一年草なのだが、アホな支那人が八千年くらゐ前になんちゃって多年性の稲を栽培化する。これは1950年代初頭に「すぺえすしゃとる」かイ―ロン・マスクの関係が苦心のロケットを開発しちゃったみたいなものらしい。「栽培植物は最初に多年性ていうか草から着手」説があったが無視する。

 バロメッツ 綿花のアレとされる。Jニーダムによれば、ローマ帝国領シリア人が使ふ「Byssus」は亜麻や木綿の他ハボウキガイの吐く糸も指し、その貝の糸の方が支那で「水羊」と訳され、『後漢書』にあるさういふ表記が九世紀頃には「地生羊」になった。こっちでも「Gシュレッゲルはこの話へ木綿にラクダぶち込んでるのでぐっちゃんめっちょんに」とかなんとかdisられてて、ぁー(南方熊楠先生の本でも支那通のシュレッゲル先生がアレなの) でもニーダム説は無視され、諸資料は実在の羊歯説。地生人ヤドゥアとの類似はデフォで出るのに。

澁澤龍彦先生は、「スキタイの羊」と「バロメッツ(実在する羊歯)」はもともと別だったらしいのだが、綿の何ぞがこれより説得力を持つ羊歯と「ごっちゃになった」とする。でボルヘス『幻想動物学提要』を、ア・バオ・ア・クからabc順にバロメッツの辺まで翻訳してたら充実版『幻獣辞典』が出たので結局やめたらしいけどその中で、中華バロメッツを「支那の羊歯」と訳してゐる。澁澤先生はボルヘスのこれに「対抗意識」を持つと言ふのが翻訳全集の編集の人の説である。

 支那の文献で、臍を地べたへ埋けると子供が出てきて生え、人馬で驚かすと根っこから切れて水草を追ひ、みんなでもふもふする羊羔とか、狼が食ふヴェジタブルラム羔子(かおつぇ)とか、さう言ふ中華バロメッツ傳承が。これは羊歯のアレ(「ポディウム・バロメッツ」て書いてあるけどキポティウムバロメッツらしい)ぽいと言ふのが南方熊楠説。

獖羊が出てくる『孔子家語』とかが成立したとされるAD二世紀とかは五行説もイデオロギーとしてできた辺で、この頃の支那に「孔子ののたまはく 土属性は羊形を取る」と言ふのがあったらしい。傳播の過程で謎の介虫@水属性が相克関係の土属性に食はれ、荒俣宏『世界大博物図鑑』によれば支那でも千歳を超える樹木の精霊は羊になるとかあるといふが羊が「木」属性に食はれて、アレなのである。樹木に剋つのはメタル属性で其処はもふもふが属する。ぁー。火属性はまぁ何とかあるんだよな

 「花」の咲く木本の羊歯。

雄株と雌株があって、雌株はでかいでいい筈だが、偽肢は持たないあるいは根っこは普通の奴で、過酷な所にお住まひなので根の一部か葉が捕獲器になってをり、虫などを捕まへる。バロメッツバロメッツって言ひながら「繊維的なものが出る言い訳が無ぇよ」落とし穴的な偽装で繊維みたいなのを吐くとかなんか。ゴカイの一種でちんちんに視覚器官付きで独立し、遊泳するのがをった筈。雄株は光合成ができるほか、義肢(茎か根っこ)で移動が可能。獲物捕獲器が「カップヌードルの器」状になってをり、獲物は虫とか小動物は消化できるが人間は無理ただ入れられる上に、「調教により移動させる」ことができ屎尿老廃物の摂取が可能とか。羊歯で「蜜」がでる言訳があれば

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