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鼠でぽん

 熊は胎生の筈であるが、齧歯類は尻尾がアレなことから、異常に長い期間、哺乳類から外されてたらしい。

 南方熊楠『鼠に関する民俗と信念』によればアレは『璽雅』では獣とされるが、『本草』では長い間、「魚 虫」のカテゴリーで、同じく『マビノギオン』でも爬虫の類とされる。また足利家の博物の本でも魚かなんかとされる。

 なので南米へ行った宣教師が、カピバラを魚類とするのは問題がないらしいのである。

佐々木倫子『動物のお医者さん』では、獣医学を志すネズミフォビアの兄さんが、友人宅で「性別が固定」されてゐるにも拘らず繁殖し、「おとうさん」と称される個体が出産するスナネズミ地獄を見て、大学でアレする齧歯類に関し「箪笥の裏は鼠の卵でいっぱいだ」と叫ぶ。なほ佐々木先生は普通の衒ひで「北海道に恐龍がいたころ」をやって、多分植物食のトラコドンを書いてゐるが、後に1二十世紀初頭の北海道でも恐龍は全然棲息できる2「草食」恐龍はをった3トラコドンは存在しないことが判明したがそれの仲間の化石が北海道で発見された、といふのが。あー。二楷堂君の妄想はただ単なる衒ひでなくて「歴史と傳統」があるらしいのである。

 藤子F不二雄 先生の死後、白亜紀やジュラ紀の地層から真獣類であるササヤマミロス(白亜紀初期)だのエオマイア(白亜紀初期)だのジュラマイア(ジュラ紀後期)だのが発見されたため、それ以前の科学考証においては、ティラノサウルスやフタバスズキリュウ(白亜紀)の時代にをる哺乳類は卵生がデフォであった。その為『ドラえもん』で「ネズミが嫌いなドラえもん」が真獣類ではない鼠型もふもふへビビるのは、当たる言ひ訳の可能性がある。

 宮崎駿 ミノノハシ は「17世紀にタスマニアで絶滅した原始哺乳類」で、齧歯類系のフォルムを持ち「鎧のようなシッポ」を持つ水棲生物。『もののけ姫』のヤマトミノノハシは絵コンテには同様の記述がある尻尾はアニメではふかふかしてゐる。これと『天空の城ラピュタ』のは別にいいとして、『シュナの旅』に至っては、発表時a「宮崎駿は話が馬糞臭い」と言はれ、bそろそろ「テレビマンガと紙のマンガは「文法」が異なるため、両方やってないとアニメからマンガへジョブチェンジは一応不可能」とふ経験則が知れ渡る頃で、アニメーターのマンガしかも文庫版といふ終了フラグでしかないこの作品は、でも「終るアニメーター」を国民作家へ、うーん、ナウシカ姐さんよりは若干。

 古代のネズミぃ、ですかねぇ一族。マルスハテルだのコパテルだの、カストロカウダだのトリコノドン、デルタデリジウムは、まだいけるかどうかが不明。カモノハシペリーは問題外。緑色のカモノハシや「レッサーパンダ色のアライグマ」、「上顎に前歯を持つ偶蹄類」とかは、内田百閒大先生はもふもふを書く際「ぬとぬと」させてゐるので文章系でも何か。

ジバシリ 南方熊楠も甲斐の国、スコットランドの鼠害を書いてた。あとハムスターの貯蔵。

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