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ボコイを飼う今日このごろ。〜 Writer at Work 12/22

 またもや久々のノートになってしまいました。とても近況ノートなどとは言えませんね。
 なにしろタイトルをはっきり思い出せなくて、今横にカクヨムのページを別に呼び出して並べてあるくらいですから(笑)。

 そうか、前回の更新がちょうど2か月前になるのか。月日が経つのはなんと早いことか。なまけていたつもりはないのだが……。

 そういえば、前回はスマホやタブレットで読まれている読者向けに〈SP format〉なる叙述形式を考えた……というお話でした(今横に並べて見ているのでわかったわけですが)。

 あれ以来かなり時間が経過したのを実感するのは、そのときには実験的に始めたばかりだった〈SP format〉化が、今では「ボコイ」と「マチウ」の全編にわたってほどこされ、完了してしまったということですね。

 別に、〈SP format〉などと特別な名称をつけるほどのことをしたわけではなくて、できるだけ改行を心がけ、行空けなどもして、文章というか文字がズラズラ羅列されたうっとうしい画面になるのを避けるようにした、というのに過ぎないのですけれどね。

 そういう書き方ということだけなら、むしろこのサイト上に発表されたほとんどの作品とようやく同じ体裁になったということです。

 前回の最後で、私が「意外な発見が……」などと言っているのは、自分の作品をそういう形に当てはめてみたところ、意外に悪くないな、という印象を受けたということなのです。

 リズム感というか、文章が流麗につづられていて読み手の頭にすんなりと受け入れられるように、というのは私がつねづね心がけていることです。
 それは、しかし、私が長年なじんできた40字程度✖️17、18行の縦書き形式で書いていての感覚です。
 ちなみに、私は仕事として文章を書き始めた最初から、400字詰め原稿用紙を使った経験がありません。あの原稿用紙では、横書き以上に違和感があって、リズム感どころではなかったからです。

 脱線ついでに言うと、私が最初に買ったワープロは横書きで40字✖️14行くらいが表示できるものでした。〝連文節変換〟なるものが可能だというのが謳い文句で、まあ、ようやく文章を書く感覚が機械でもできるようになったな、という印象になったので、今の21インチのiMacくらいの値段(!)のものを思いきって月賦で買ったのです。

(ちなみに、それ以前のワープロは、画面に一度に2行とか4行しか表示できず、漢字は1文字1文字いちいち候補から拾い出すなんていうシロモノだったのです)

 しかし、ワープロがあったにもかかわらず、最初に書いた商業用の原稿は手書きで、50字✖️20行程度の大きめの縦書き原稿用紙を使い、実際に本の形になった時の文字数、行数に合わせて書きました。(はっきりした記憶ではありませんが、「聖エルザ」のかなりのところまでそうでした)
 というのは、やはり横書きに対する決定的な違和感と、電源を入れている限りずっとブンブンうなりつづけている冷却ファンの音がうっとうしくてたまらなかったからなのです。

 こうして思い出してみると、私は最初から自分が出す本のページの見ためのすっきりとした美しさにこだわりがあったし、それが内容の充実度やリズム感と密接に関連していてほしいという願望があったようです。

 そんな人間がいったん組み上げたその形を崩すわけですから、最初は抵抗感があり、恐る恐るの作業でした。ですが、どういうのかな……文章にすでにこめられていたものを丁寧に掘り起こすような感じとでもいいますか、だんだんと、ある一文、一行の重さ、文と文のつながり具合、場面の印象度――そういったものを再点検していく感覚になっていったのです。

 そういう視点で見直すと、縦書きの基準とはまったく異質ではあるけれども、私の作品に最初から内在していた行がえや行空けの必然性がだんだん見えてきたということです。

 機械的にむやみな行空けなどをしてかえってリズム感を損なっている作品をよく見かけますが、自分の作品ではそういうことはまぬがれそうだとわかってからは作業は順調に進みました。

〈SP format〉について書き始めた近況ノートをほっぽらかしにしたままどんどん作業を進めてしまったのは、そういう舞台裏があったからなのです。

 私自身としてはまだ〈SP format〉という形式で執筆するという感覚はなく、あくまでも縦書きからの〝変換〟というものになります。そしてまた、形式として確立……というか、洗練されたという気もしていません。あるパートとあるパートを比較してみると、どうしても基準にばらつきがあるのが目についてしまいます。そのあたりは気がつくたびに手を入れていくつもりです。

 しかし、こうして発表済みの文章の再構成が終わってみると、もうことさら〈SP format〉と表示する必要はないのかな、とも思いはじめています。私の作品が、この形式だからこそすんなりと受け入れてもらえ、以前の形で読んで支持してくださった方々にも、違和感を覚えさせないというか、〝味〟を損ねるようなことがないのであれば、この形式を継続させ、さらに洗練させていこうかな、と。ですから、そのうち〈SP format〉の表示が突然消滅するかもしれませんが、それは不要になったからだとご承知ください。

 ではまた次回。
 ……あ、もしかすると年内最後のノートになるかも。先にご挨拶しておきます。

  Have A Merry Christmas and A Happy New Year!

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