長らくご無沙汰してしまいました。久しぶりのノートです。こちらはアクセス数が表示されないところから、どの程度の読者がいらっしゃるのか不明なために、情報発信手段としてどれだけ有効に機能しているのかな、と。……まあ、それは言い訳ですが、ツイッターのように書かないと〝せっつかれてる〟感がないものですから、どうしても……ね。
ご存知でしょうが、「純真なマチウ《改訂新版》」のリニューアルがいちおう完了しました。第1部[胎動篇]と第2部[生誕篇]の形がととのい、加筆改稿もそれに応じて行いました。サイト上の閲覧用にというだけでなく、とくに大長編であるだけに、作者にとってもずいぶん見通しのいい、スッキリしたものになったなというのが実感です。やり終えてみれば、最初から必要な配慮だったな、とも思えます。
これで、書きかけのまま中断している[揺籃篇]にもずっとすんなり読み進めてもらえるようになったと思います。その[揺籃篇]については、このノートでも言及してあるように、現在執筆中の「地球獣ボコイ」が完成するまでは新たに書き進めることは不可能ですが、諸タイトルが暗示しているように「マチウ」の全体は数奇な運命の下にこの世に生を受けた少女が成長する過程とそこで遭遇していく世界を描くものになります。幼児がいきなり少女へ、一人前の女性へと変貌するはずがないのと同様に、物語世界も一気に展開していくわけにはいかないのです。
作者の中では、もちろん[揺籃篇]の先行きだけでなく、さらにその先、そして登場人物たちの運命の変転や世界そのものの巨大なうねりが、中断している間にもマチウ同様に成長し、広がってきています。改訂作業をすることによっても、それはさらに明確になってきたという実感――というか、手応えを感じました。
[揺籃篇]との体裁上の調和をはかるというのが今回の改訂作業の目的の1つであったわけですが、内容的に[揺籃篇]に合わせたという部分はほとんどなく、〝推敲〟というべきものでした。こうして[胎動篇][生誕篇]に推敲をほどこしてみると、自然と[揺籃篇]にもそれが必要であると感じられてきました。
「ボコイ」の完成が最優先であることはもちろんですが、今まで行ってきたリニューアル作業のようなものであれば、「ボコイ」執筆と並行してわずかずつでも進められるのではないか、進めていきたいなとの思いが出てきました。
ただ、すでに公開してはいるものの、[揺籃篇]は旧版「マチウ」をコンテスト用に提出した時点と比べればはるかに不確定な〝初期バージョン〟にすぎません。先を書き進めるにつれて直しが必要になってくるであろうところや、書き終えた時点でようやく見える全体から俯瞰して直しが必要になってくる部分が当然出てくるはずです。
ですから、あくまでも中断している現時点での整理ということになりますが、少しずつでも行っていこうと思っています。そして、その作業がうまくいけば、もしかしたら手元にある未公開部分をいくらかでも公開するめどがつくかもしれません。
その日思いついて書いた分を日記のようにサッと公開してしまうというようなことができるようなタイプの作家ではないし、よく練られていないものを求められているとは思わないので、そこは慎重に判断していくつもりですが、追加できそうなストックがあることは事実です。
私としても少しでも先まで公開したいのはやまやまなので、いざ執筆再開となったとたんに、せっかく読者が読んでくれた分を破棄せざるをえなくなったり、大幅改稿というハメになったりするようなものにならなければ、ぜひやりたいと考えています。
そして、ようやく「マチウ」にも一区切りついたので、「ボコイ」の一日も早い完成を目指すことにします。
カクヨムでは〝歴史・時代〟のジャンルが〝歴史・時代・伝奇〟と衣替えするそうですが、依然としてマイナーなジャンルらしく、次回の小説コンテストでも対象にされないようですが、私自身としてはそんなマイナーなものを書いているという自覚はほとんどありません。
私は昔から言ってきたように〝おもしろいもの〟を書くことにしか興味はありません。ジャンルに奉仕したり、ジャンルに何かをあてにする気は毛頭ないのです。「勝手におもしろければいいじゃないか」というのが本音です。そろそろ……いや、とっくに松枝蔵人のファンにはわかっていただけていることと思います。「マチウ」同様、「ボコイ」も決定的に〝松枝〟ならではのおもしろさをお目にかけます。どうか、最後までおつきあいください。
ではまた、つぎの更新で。