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ボコイを飼う今日このごろ。〜Writer at Work 08/17

 もうご存知の方も多いことでしょうが、「ボコイ」の執筆と並行して、「純真なマチウ」([生誕篇]として発表した部分)をリニューアルする作業に取りかかりました。

 サイトではたしかに作品の規模は想像しにくい、とはずっと感じていました。あらかじめ文字数をチェックしたとしても、それは多ければ多いほど迫力ではなくうんざり感しかもたらさないだろうし、少しでも悠長な書き方だと「いったいこの部分はどういう面白さにつながっていくんだろう」と不安にさせるだけなのだな、と今さらながら感じています。スマホで読むという方もかなり多いはずで、そうなるとたしかにスクロールすることさえしんどくなりそうだな、と。

 リニューアルする理由については作品につけた紹介文でも述べているのであえて繰り返しませんが、上記のような感覚を最初からあたえてしまうような体裁であったものを、あるべき適切な姿に整えようということです。考えてみれば、読者には全体の文字数しか情報として知ることができず、各章、各エピソードの規模はまったく見えないのですからね。「30万文字ってどのくらいなんだ?」と怖れをなすのは当然のことです。

 ですので、ここで体裁について参考までに述べますと、私が書いている形式だと、1ページあたり「42字✖︎17行」。「マチウ」の旧版が約600ページ分に相当します。かなり分厚い本になりますね。私は「指輪物語」でも「ハリー・ポッター」でも最近の「氷と炎の歌」〈TVシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」の原作〉でも、分厚さはむしろ好きなのですが、その分厚ささえ具体的に感じられないというのでは、ね。

 ですから、今回[胎動篇]と[生誕篇]に分割する体裁にしたというのは、それぞれが単行本や文庫版で300ページという想像しやすい規模になり、一冊読んだ、という達成感を味わってもらいやすくなるかな、という意図によるものです。かといって、機械的にバッサリ切ったわけではなく、ネタバレは避けますが内容的にもここで一区切りついているはずですから。

 ただしかし、ネーミングについては、〝上巻・下巻〟とか〝前編・後編〟とすることも考えましたが、それではあまりにも無愛想だな、と。本にすることになったら分割も考えようというくらいのつもりだったのですが、「おお、〝生誕〟の前には〝胎動〟があるじゃないか!」と思いつき、そのタイトルを採用することにしました(つい最近のことですが、アハハハ)。

[胎動篇][生誕篇]としたことで、これからの展開について私の中でひとつ決着がついたのは、中断している[揺籃篇]もそれらと同規模に収めようと決めたことです。すでに[揺籃篇]に取りかかっている方はびっくりするかもしれませんが、今のままでも十分いくつもの要素が絡み合ってきてスケール感が出てきているはずなのに、これにさらに重要な展開への布石が入り、旧版[生誕篇]全体と同等かそれ以上の規模になることが自然に感じられるほどの展開になるはずでしたが、それはこの際スッキリと整理し、一巻としての体裁に見合うものにするつもりです。

 近況ノートまでていねいに読んでいただいているのはきっとコアなファンの方々だろうと思うので、[揺籃篇]に関しての情報はまだここだけにとどめておきます。まずは「地球獣ボコイ」をきちんと仕上げてしまわなければなりません。「マチウ」が出せるか、[揺籃篇]の続きが書けるかは、「ボコイ」の評価にかかっていると思います。「マチウ」に思い入れを持ってくださっている読者の方には、じれったい回り道をしているように思われるかもしれませんが、「ボコイ」は私なりのエンターテイメントとしてけっして「マチウ」にひけをとるようなものにはならないと確信しています。どうか、ぜひお読みになってくださるようお願いいたします。

では、また次回の更新で。

2件のコメント

  • 初めまして。
    突然失礼します。
    新着レビュー欄でお名前を拝見して、居ても立ってもいられず、コメント差し上げています。

    『瑠璃丸伝』が大好きでした。

    高校時代、古本屋でビビッと来て手に取り、直感どおりハマりました。
    あちこちの古本屋で探し回って入手して、繰り返し読んでいました。
    いつか瑠璃丸たちのように生き生きとしたキャラクターが活躍する伝奇小説を書きたいと憧れていました。

    カクヨムで松枝先生の作品に再会できて嬉しく思います。
    読ませていただきます。
    『ボコイ』、未読のうちにコメントなどしてしまい、失礼しました。
  • コメントをいただいて光栄です。

    瑠璃丸伝のファンでいらっしゃったのですか。古本で読まれたということは、連載時からずっと後のことになると思いますが、当時はこのように共時的に読者の方と交流するなどということはまずありえず、ましてや途中から連載を降りて書き下ろしになってからは、まったく反応のわからないまま書き終えたものです。

    それが20年もの時間が経過した今になってご感想をいただけるとは、実にこの上ない喜びです。

    ボコイはあれとはまたちがった〝伝奇〟モノになっています。気に入っていただけたら嬉しいです。ぜひ感想を教えてください。ちゃんとお礼を申し上げます。
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