コトノハーモニーの遠野と北山です。
今回ははじめての企画に参加して頂きありがとうございます。一体何を言われるのかと身構えてる方もいらっしゃるかもしれませんが、物語を書く端くれとして、書き直すための材料として何が必要だと思うのか、真剣に意見を出し合い、まとめました。
批評『魔法の鏡』天野蒼空さん
https://kakuyomu.jp/works/1177354054895524771肯定的批評
①最後に読者をあっと言わせる仕掛けを用意している(店主が人外である)
②異国情緒あふれる街並みを魅力的に描こうとしている
③魔法の鏡がキーアイテムではなく、主人公の綺麗な心というのが変化球で面白い
批判的批評
①タイトルにも「魔法の鏡」と出てくるので、当然読者は魔法の鏡がどんなものかを期待を寄せている。その効果がどんなものなのか、物語の中で見せるべきではないか。
②主人公は綺麗な心の持ち主であるなら、対比として別の人物が出てきた方が伝わりやすい(例えばシンデレラなら継母や継姉のように)。容姿にコンプレックスがあろうと鏡の誘惑に負けない人物であると、エピソードとして読者に語られる方がいいと思う。今のままでは主人公がどのような綺麗な心を持っているのか、読者には伝わってこない。
③主人公が容姿にコンプレックスを抱く理由(この世界では黒髪はよく思われないのか?など)、怪しい店主の目的、そして魔法の鏡とは一体何なのか……掘り下げる魅力的な題材は出てくるが、物語が始まる前に終わってしまっているため、読んだ後に物足りなさを感じる。
雑感
・読んでいて世界観がオリジナルのファンタジー世界なのか、それとも外国をイメージしているのか分からなかった。もしオリジナルの世界観なら「白雪姫」「ドライフラワー」等の固有名詞を出してしまうと世界観が壊れてしまうので「おとぎ話」くらいの表現に抑える方が良い。
・「不思議なお店」の話が描きたかったのはよくわかるが、お店に至るまでの導入や店内の描写についても、もう少し読者の興味をかきたてるように仕組んだ方が良い。例えば道に迷うにしても怪しい路地裏に入ってしまう、不思議な黒猫のあとを追いかけると……など。また、店内の描写は見た目が中心だったので、もう少し聴覚や嗅覚に訴えてみてもいいのではないか。
・「魔法の鏡」が出てくるだけでなく、不思議なお店の話なので、他の登場人物を出して「魔法の鏡」を使うとどうなるのか、得られる利益、対価として何が奪われるのか……を描いた方が、主人公が助かった事に対する読者の安堵に繋がると思う。
・「なりたい自分になれる」というあらすじだが「それを使った人はだれでも綺麗になれるらしいんだ」と作中では語られている。この魔法の鏡は姿形を望んだように変えられるのでは?という疑問があった。例えば、鏡には理想の自分が映し出され、それが魔法として現実にも反映されるのか。主人公が単に覗き込んだだけでは魔法がかからないのであれば、呪文が必要だろう。「魔法の鏡」というアイテムに対して何かしらの制約やルールが必要だと感じた。それを破ることになればペナルティが課せられ、それを守ることによって主人公の高潔さを証明することも出来る。
今回は企画に参加頂き、ありがとうございました。
この批評も私たちの意見や主観が入ったものになりますので、もちろん肯定的・批判的共に全てを受け入れる必要はなく、それを望んでいるわけでもありません。どうかご自身のよりよいと思う作品を、これからも作り続けて頂ければ幸いです。
今後の活躍をお祈りいたします。