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第一回自主企画⑭

コトノハーモニーの遠野と北山です。
今回ははじめての企画に参加して頂きありがとうございます。一体何を言われるのかと身構えてる方もいらっしゃるかもしれませんが、物語を書く端くれとして、書き直すための材料として何が必要だと思うのか、真剣に意見を出し合い、まとめました。

批評『水溜まりのなか花を待つ』藤咲 沙久さん
https://kakuyomu.jp/works/1177354054921862167

肯定的批評
①六題小説と紹介にあったが、違和感なく作中に散りばめてあって、スパンコールやヲトメの登場のさせ方は工夫があって面白い。
②和巳と雛太の軽妙なやり取りから二人が気の置けない関係なのだと感じられた。また、二人の性格の違いや考え方の違いがエピソードや反応から伝わり、人となりがよく分かる。
③雛太にとって叶わない恋を「花を待つ」という題に絡めて表現されているのがよかった。イメージがしやすく、また雛太にとって咲かない花だという諦めが切なさを演出していると思う。

批判的批評
①雛太の和巳への想いは作中で語られるが、和巳が雛太をどう思っているのか、もう少し見せてもいいのではないか。雛太の独白からの緊張感が「洗うなよ、恋心」でドッと緩まる訳だが、その前に和巳の表情などに一瞬期待を寄せるなどタメがあってもいいと思う。
②和巳と雛太の関係性が気の置けない関係として近しいものだとはわかるが、それがどのくらい近い距離なのか、第三者を出した方が伝わりやすいと思う。和巳の性格なら雛太は同性の単なる仲のいい友達の一人や何でも話せる親友という扱いなのか、高校や大学も部活も同じで、雛太が「嫁に欲しい」という言葉に思わず動揺するくらいの近すぎる距離感なのか。傍から見てどうなのか、というのが気になった。
③ 「こんなに単純でシンプルな頭をしているくせして、和巳の書く文章は繊細だ」というギャップはアリだと思うが、今のオチだとそういう繊細な部分より鈍感な印象が残る。それが意図した外し方だったのか、そういう機微を読み取る繊細な感性の人物として何かしらの反応を見せてから、やっぱり情緒がない、というオチを見せてもいいのではないか。

雑感
・生活感のある描写、雛太だから考えそうなこと、キャラの立ち方としても軽妙なやり取りで読みやすかった。
・「この恋情も、色欲も、お前を染め上げても足りないくらい溢れて滴っているのに」と盛り上がる部分だが、ここだけ急にBLらしくスイッチが入ったような表現で唐突な印象を受けた。例えば女子学生に和巳が話しかけられるなど、雛太の中で恐れと気づいて欲しい気持ちがある中で、何かもう少し弾みとして要素があってもいいのではないか。
・個人的にはこの話の中でうまくいく可能性のあるBLとして読むのか、ノンケ(とあえて断言させてもらうと)である和巳に対する切ない片思いを描きたいのか、どちらか読み終えても判断つかなかった。その辺が作者の中で決まっているのであれば、もう少しどちらかに寄せてもいいと思う。

今回は企画に参加頂き、ありがとうございました。
この批評も私たちの意見や主観が入ったものになりますので、もちろん肯定的・批判的共に全てを受け入れる必要はなく、それを望んでいるわけでもありません。どうかご自身のよりよいと思う作品を、これからも作り続けて頂ければ幸いです。

このような機会を頂きありがとうございました。
今後の活躍をお祈りいたします。

2件のコメント

  • はじめまして、藤咲と申します。
    この度は作品を批評して頂きありがとうございました。

    ご指摘はどれもわかりやすく納得のいくものばかりで、お二人が真剣に、丁寧に考えながら書いてくださったのが伝わってきます。

    自分でも気になっていたこと、自分では気付かなかったこと、どちらも多くありましたので、改めてこの作品を見直してみたい意欲がわきました。
    企画に参加させて頂いてよかったと感じています。

    また、肯定として書かれた内容を大変嬉しく思いました。

    たくさんの作品を、これだけの熱量で批評するのは大変だったと思います。貴重なお時間を割いて頂き、本当にありがとうございました。
  • はじめまして。
    こちらこそ今回はじめての企画に参加頂きありがとうございます。

    完走まで時間を頂いてしまいましたが、最後に参加表明を頂いた藤咲さんの作品の批評まで無事終えることが出来て、私達も少しほっとしています。

    普段あまり一次創作のBLを読むことが多くないので、BLというフィルターを通して気になった点とそれを抜きにして気になった点をまとめたつもりです。批評の中でも触れましたが、全体に読みやすい文章で書き慣れた方なのかな、という印象を受けました。欲を言えば、もう少し別のエピソードや関係性の変化を感じながら長い尺としてこの二人を読んでみたいと思いました。

    今後の執筆活動の一助になれば幸いです。
    ありがとうございました。
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