コトノハーモニーの遠野と北山です。
今回ははじめての企画に参加して頂きありがとうございます。一体何を言われるのかと身構えてる方もいらっしゃるかもしれませんが、物語を書く端くれとして、書き直すための材料として何が必要だと思うのか、真剣に意見を出し合い、まとめました。
批評『嗚呼、腐っても神様』乾燥バガスさん
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894324031肯定的批評
①神視点側をあえて主人公として、異世界転生ものを逆手に取ったところが面白い
②SF、異世界、ファンタジーと欲張った世界観を一つの作品の中でうまく同居させている
③「仮想世界で結ばれた者同士で人工授精を行い、容器が人工子宮として機能している」という設定が面白い
批判的批評
①全体に設定に話が寄っているので、本筋らしい本筋がないように感じた。むしろキミが主人公の方が「死んだと思ったら実は…」とショートショート的なオチがあり、読者にも意外性がある。
②高東サトシ、浜坂キミ、イズモなどSFな設定に対して日本的な名前ばかりなのが気になった。イズモのアドミニストレーターは日本人ばかりなのか?
③七つの仮想世界とあるが、なぜ七つ必要なのか。例えば仮想世界で過ごすのなら、一つの世界で七つの時代でも構わないはず。「目的の惑星がテラフォーミングされた直後の環境で、人々が暮らしていけること」というもっともらしい理由を用意しているが、読み進めると「蒸気機関と魔法に支えられた文化」「魔法テクノロジーが発展した十六世紀前後の異世界」「二十世紀初頭の地球に魔界が融合した世界」と出てきて疑問符が浮かぶ。色々な設定が出てくるが、説得力に差があると感じた。
雑感
・円卓に安楽椅子という場面だが、テーブルを想像した上でいわゆる安楽椅子という組み合わせに違和感があった。
・基本的に主人公がただ設定を説明しているだけで物語が終わってしまう。この長さならば、記憶の有無も選択できるという設定を活かして、仮想世界から戻ってきてアドミニストレーターとしての役割を知る方が読み手に驚きがあるのではないか。
・今の話の筋は設定を活かすための設定と感じられる箇所があり、せっかくの魅力的な設定がエピソードとして描かれていないのが勿体ないように思う。
・仮想世界とはいえ魔法や蒸気機関を登場させるのであれば、なぜそれが必要なのか、もう少し読み手にわかる理由がほしい。少なくともアドミニストレーター側がSFである以上、移住する先には魔法はないように受け取れる。仮想世界の役割は理解できるが、単なる文明レベルの差では説明がつかない世界観の違いについて設定を面白く見せるために話を寄せたように見えてしまった。
設定としては面白く感じたが、この長さではそもそも描ききれない情報量であり、短くまとめるのであれば構成については見直してもらった方が読み手が楽しみ、話に入り込みやすいと思う。
今回は企画に参加頂き、ありがとうございました。
この批評も私たちの意見や主観が入ったものになりますので、全てを受け入れる必要はなく、それを望んでいるわけでもありません。どうかご自身のよりよいと思う作品を、これからも作り続けて頂ければ幸いです。
このような機会を頂きありがとうございました。
今後の活躍をお祈りいたします。