コトノハーモニーの遠野と北山です。
今回ははじめての企画に参加して頂きありがとうございます。一体何を言われるのかと身構えてる方もいらっしゃるかもしれませんが、物語を書く端くれとして、書き直すための材料として何が必要だと思うのか、真剣に意見を出し合い、まとめました。
批評『最期の愛』sawさん
https://kakuyomu.jp/works/1177354054918234303肯定的批評
①短い文字数で仕掛け面白い
②仕掛けがちゃんと成功している(どちらから読んでも意味が通る)
③仕掛けによる読者の印象を操作できている
批判的批評
①最後の言葉は誰のものか。ここで作者が読者に語りかけるべきではない。
(例えこの話が下から読めるという仕掛けがあったとしても……)
②この話には今の時点ではストーリーらしいストーリーがない。なぜなら「恋人に宛てた手紙」という情報以外、読者には何も情報が与えられていないからである。手紙を主軸として置くのではなく、あくまでストーリーのアイテムとして位置づけるべきではないか。
③「最期の愛」というタイトルがネタバレになっており、仕掛けの邪魔をしている。
雑感
・今のタイトルでは、最後の一文を読むとその時点でオチがわかる。
そのため「さいごのあい」「愛しの君へ」など「最期」を使わずにミスリードを誘う方がいいのでは?
・おそらく作者が試したいと思ったことを形にはできているが、最後に作者が出てきたことで読者は現実に引き戻される。
・読み終えて「逆に読む必要があるのか」という疑問が残る。なぜなら、この話の設定として恋人に宛てた手紙なのに、というところが引っかかる。
・作者が読者に呼び掛けるのではなく「恋人が幸せそうに手紙を読んで、別の人間が読んだ時に真意に気づく」「暗い内容でしかなかった恋人の手紙が、実は愛を綴った手紙とわかる。その事で残された恋人の想いが報われる(今と逆の見せ方をする)」など、手段は他にもあるはず。
・作者がこれを書こうとした意図は汲み取れるが、正直この手紙の内容はテンプレートに思えた。これが二次創作など何かに当てはめる形ではなく、一次創作として描かれるのであれば、恋人のどちらにも感情移入ができないため、「上から読んでも下から読んでも意味が通るというアイディアを実現するための設定」という感想になる。
・この手紙を送る背景、送った側、送られた側に物語があるはず。作者にはぜひ、そこを掘り下げた上で、この手紙をより効果的に、より感動的に、読者に見せて欲しい。
またこの文字数では判断できない部分を補うため、作者の別作品である「透明な僕とお前」を読ませて頂いたが、こちらも同じく読者をミスリードする仕掛けがあった。そのため、自分が意図した方向に物語を導くことができる書き手であると思い、今回はこのような批評とさせて頂きました。
今回は企画に参加頂き、ありがとうございました。
この批評も私たちの意見や主観が入ったものになりますので、もちろん肯定的・批判的共に全てを受け入れる必要はなく、それを望んでいるわけでもありません。どうかご自身のよりよいと思う作品を、これからも作り続けて頂ければ幸いです。
このような機会を頂きありがとうございました。
今後の活躍をお祈りいたします。