魂の定義と、友情の話。
前々回で、個人の特定には感性的な判断を行うということを書きましたが、個性の具体的な判断基準とは、という考察とともに、ラヴァルが己の友情を自問する回。
この世界において、魂とはエス構造群仮説に基づく『ビットに還元せず消滅するビット群』を指します。
一種の科学信仰の篤い天球都市世界では、エス構造群仮説は神秘主義が過ぎた妄想だと言われており、消滅するビット群は変換の際に消費するエネルギーに変換されているというのが主流の説になっています。
要するに、人間の魂は形而上学的物質であり、実在しないとされています。
しかし、今回登場した老教師はこの仮説に傾倒し、エス構造群を構成するものの一つに記憶を上げています。
記憶が同一ならば、外面が変わっても人の個性……魂は喪失しない。
なので、ジェニスは女になってもジェニス本人である、という証明ができるわけです。
それならば、外面しか見ていないラヴァルは何故、彼女を初見でジェニスであると確信したのか。
長年の付き合いによる友情がもたらした奇跡であることを、ラヴァルは否定します。
ジェニスを撃ったラヴァルは、自分に友情はないと考えているのです。
では、ラヴァルのジェニスに対する現在の感情はなんなのか。
その問いの答えは、前半にあります。
「俺はお前のナイト様がお似合いだよ、お姫様」
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次回更新は3月16日(土)18時投稿予定です。
はぐるまバディに性転のララバイを/葛猫サユ - カクヨム
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