話のテーマとして、個人意志の貫徹と人類意志の統率という大枠を感じ取れればと思います。
ローランに対してカリグラは個人意志を信念という言葉に置き換えて、過去の行いを過ちとするのは自分自身であると諭しています。
一方アルに対してサゼン(ネヒン)は、人類がその意志を完璧に統率することはできないと語り、アルの願いの前提が間違っていると指摘しています。
どちらも個人的には正しいことを言っていると思い書いていますが、これにローランとアルは互いに納得できていません。
なぜなら二人の話にはロードレクを喪失した意義は含まれていません。死の必然性が描かれていない以上、ローランがロードレク復活を考えることはやめられませんし、アルもまた釈然としないまま行動を起こします。
それじゃあこの話に意味は無いのかと言われれば、そうではありません。
なぜなら信念を貫くこと、世界は英雄一人では変わらないこと……これは個人の尊重であり、この世界の宗教観を破壊できる基盤があるからです。
というわけで次回、三章クライマックスになります。
次回更新は9月12日(火)です。
アルは此処に在りて~魔王少女の異世界巡礼記録~/葛猫サユ
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