前回近況ノートで、しばらく地下に潜ると思いま~すとか言いながら意外と作品が書けているので、自分で驚いています。
カクヨムコン期間も終わりに近づき、積読がかなり減ってきたお陰もあるようです。1月中はかつてないほどヨミました。
参加者の皆さん、たくさん楽しませていただき、ありがとうございました!(まだこれから伺うものもあるけど)
最近ファンタジー作品を立て続けに書いていて、自分で「これが好きなんだな~」と改めて自覚したものがあります。
それは、現実世界とファンタジーをリンクさせること。
現実に存在するいかにも「ファンタジー的なもの」を道具立てとして物語を構築するのが、どうやら好きみたいです。
たとえば以下のものは、現実に存在しますが、私の創作だと思われている可能性がありますので、一応ご紹介しておきます。
・『石炭とブランデー』に登場する黒玉(石炭から生まれる宝石)
・『蓮花の王』に登場する蓮花茶(蓮の花に茶葉を入れて香りづけをする)
・『兎国稗伝』に登場する稗官(あんなファンタジーな実態じゃないと思うけど、官職名が記録に残っています)
・『銀竜草異聞』に登場する銀竜草(光合成なしで育つ植物)
ぱっと思いつくのはこれくらいだけど、他にもあったかも……。
こういう具体的なものじゃなくても、たとえばファンタジー作品を読んだ時に出てきた人間と魔族の対立みたいなものが、後々「あれは人種差別の話だったのか!」と自分の中で現実とリンクした時なんかに、私は感動を覚えます。
なので、自分のファンタジー作品にも、必ず現実社会を反映させるものを何かしら忍ばせる癖があります。誰かにいつか驚いてほしいな~と思って。
でもそれって、実はかなり正統派なファンタジーの創り方ではないかなと思っていて。
今は異世界ファンタジーといえば転生ものとか悪役令嬢……というイメージになっているようですが、私の中にあるファンタジーは、もっと重厚で美しく、夢のような理想が実現できる世界だけれど、根底には必ず生きる悲しみが流れているものです。
それを読んだら、複雑で込み入った現実社会に存在する問題を、感覚的に自分の中に取り入れて、問題点の核を子供でも容易に理解できるようになるものです。
直接的に議論すると立場や感情の問題で客観視できず、角の立つ問題を、ファンタジーの優しい膜に包むことで、誰もがフラットな立場でより本質的に、深く考察できるようになると思っています。
だから、ファンタジーを書くときはちょっと覚悟が必要で、まず誰よりも自分が現実社会を知っていないと、とても書けないなという謎の責任感が生じます。
完全に妄想のみで出来上がっているキラキラしたお話も嫌いではないのですが、本当に好きなのは、現実にしっかりと根を張った上で、大きな想像力を羽ばたかせている物語。だから、自分もなるべくそうあろうと努力しています。
で、いま連載中の『兎国稗伝』ですが、なぜかこれまで大した興味を持たずにいた古代中国を下敷きにしており、まず自分の中に「現実の古代中国」を取り入れるのに四苦八苦中。
古代中国と一口に言っても範囲が超広い上に、ちょっと調べると、よくわかっていないことや誇張されていることがてんこもりで、いま一番困っているのが軍隊の規模がよくわからないことです。
三国志なんかに出てくる「軍勢40万が……」とかいうのは、大分誇張されていることが多いみたいで。
いや別に、キングダムみたいな話書くわけじゃないんですけどね。
時代によっても国防にどれだけの人員を割いていたかは大きく違っていて、前漢と後漢ですら雲泥の差だったりします。なんなの。後漢で急激に兵隊の数減ってるけど、どうしちゃったの。
まあ、そんな困難に直面しつつも、楽しく調査執筆中です。なぜこんなに更新に間が開いたかというと、下調べに手間取っていた部分が大きいとご理解いただきたく……という言い訳でした♡
写真は軍関係について調べ中のノート。こんな感じでまとめながらやっています。ネット上でいろんな論文を引っ張って来られるようになったので、非常に助かっています。