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「機甲猟兵エルフリーデの屈折した恋愛事情」の世界設定まとめ(3)








・文明の絶頂期と存在幸福論
■暦■■■■■年代の人類社会を、その基幹となる思想と共に述べるのであれば、それは生身の肉体への信仰だと言える。
当時、すでに人類の存在を情報体に転化、意識活動を永続させる半永久機関サイバーコフィンは完成した技術だった。
人間という存在を不滅の情報体に至らしめ、ありとあらゆる元素を魔法のように合成できるテクノロジーは、人間存在そのものを拡張した。
しかしその反動として生まれた文明の先祖返りを目指す運動が、人類の文明レベルを大きく後退させることになる。
その過程で複数の非人道的な思想――優生学や社会ダーウィニズムと呼ばれたそれに近似している――を再発明した末、人類は独自の宗教観に至った。
すなわち「誕生は幸福であり、死もまた幸福である」という存在幸福論だ。
人間の幸福を誕生と死のサイクルと定義した社会は、それ以上の発展も生活水準の引き上げも望まず、また認めない永遠の停滞に支配された。
黄金の瞳を持って生まれた子供たちは、その社会の中の数少ない例外であり、成人に達した時点でその肉体の老化が止まる不老不死の存在として、人類社会への永遠の奉仕を期待されていた。



・|恒星球殻《ダイソンスフィア》
恒星から得られるエネルギーを最も効率的に利用するための人工物のこと。
またこれを利用した人工的世界のことを|球殻世界《スフィアワールド》と呼ぶ。
物質の情報化、超光速航法、重力制御が可能になった超高度科学文明では必要とされないエネルギー源だったが、恒星を征服するという行為そのものが神聖視され、人類文明全盛期には複数の恒星球殻が建造された。
衰退期に陥る前から、人類は宗教的観念に基づいて文明活動を行っていたと言える。





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