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「機甲猟兵エルフリーデの屈折した恋愛事情」のメカ設定まとめ(4)

3章に登場するメカニックの設定です。
バレットナイト=人型機動兵器や人間用の銃器の設定を置いておきます。
ネタバレ注意。







・〈ミステール〉
鴉頭の剣鬼/多腕の死神。
4.6メートル。機体名は「神秘」の意。
バナヴィア独立派の幹部、ゲリラ戦指揮官セヴラン・ヴァロール専用機。
独立派が独自開発した機体で、ベガニシュ製BKのデッドコピー〈クラージュ〉を基礎にして発展させたもの。
ペストマスクを思わせる、くちばし型の口吻が突き出た鴉のような頭部形状が特徴。
通常のバレットナイトよりも大柄な駆動フレーム、次世代人工筋肉によるなめらかな動きなど、多くの特徴が〈アシュラベール〉に追従するコンセプトを持つ。
人工筋肉の出力や駆動フレームの強度から第3世代バレットナイトに相当する本体性能を持つ。
一見すると外貌は正統派の剣士らしいが、その実態は全身に仕込み武器が隠され、白兵戦を挑むものすべてを葬り去る悪意の結晶。

巨大な刺突剣を保持する右腕は肘関節が折り畳まれており、この関節を伸縮させることで伸びる刺突を放つことが可能。
完全に超硬度重突剣《エストック》の運用に特化した構造であり、人型とは言いがたい異形の関節構造を備えている。
また左腕に装備された大型盾・近距離破砕防盾〈ブクリエ・デュ・ブゥロ〉は、仕込み武器の一種である。
積層装甲の下に超硬度重斬鋏《じゅうざんきょう》――巨大シザークローと電磁パイル発射機を備えた盾は、〈処刑人の盾〉の名前通り、捕らえた対象を確実に抹殺する。

本機最大の特徴は、背部ハードポイントを占有する格闘戦専用のサブアーム〈ブラ・ドゥ・ラ・モール〉である。
携行武器の保持を目的とした通常のサブアームと異なり、この1対2本の武装肢は本体の四肢と同様の出力・強度があり、小型の超硬度重斬刀と一体化した武装肢である。
6メートルもある長く強靱なサブアームはシャコのそれを参考にデザインされており、折り畳まれた静止状態から高速展開され斬撃・刺突を行う。
サブアームの付け根には衝撃を吸収する層があり、自らの攻撃の反動で傷ついてしまう危険はない。

この武装肢の制御に関しては、人体にない器官を操る関係上、特殊な才能が必要されるためワンオフ機に留まっている。
末端の重量が大きい武装肢を振るう際の重心制御は難しく、サブアーム展開時はその動きに振り回されることになりかねない。
これを実戦運用するには相当な技量が必要とされる。


武装
・両肩:光波シールドジェネレータ×2…ベガニシュ製BKから奪ったものを流用している。
・背部重突肢〈ブラ・ドゥ・ラ・モール〉×2…シャコの前脚。刺撃型の重斬刀でブレード部分は短剣ほどだがアームが長い。「死神の腕」の意。
・右腕部内蔵武器:多目的手裏剣
・右腕部::超硬度重突剣(エストック)…全長4メートルにも及ぶ刺突用長剣。
・左腕部:近距離破砕防盾〈ブクリエ・デュ・ブゥロ〉…電磁パイルと超硬度重斬鋏《じゅうざんきょう》シザークローが内蔵された大型盾。「処刑人の盾」の意。
・腰部ハードポイント:発煙弾発射機








・〈クラージュ〉
身長4メートル。
「勇気」という意味のコードネームを持つバナヴィア独立派の第2世代バレットナイト。
犬のように鼻先が突き出た、猟犬面《ハウンスカル》型兜を模した頭部形状が特徴。
その正体はベガニシュ帝国製〈アイゼンリッター〉タイプの複製品《デッドコピー》である。
バナヴィア王国残党によって独自にリバースエンジニアリングしたもので、彼らが保有する造物塔で密かに生産が続けられている。
原型になっているのは型落ちの前期型であるが、独立派では独自に改良を加えたものを少数生産している。
これらの機体はバナヴィア独立派では貴重な高性能機であり、精鋭部隊〈ソードブレイカー〉に優先配備されている。

武装
・基本的に〈アイゼンリッター〉と同等品が使用可能。






・〈アイゼンリッター〉リザカスタム
クロガネが独自のルートで入手した軍の現行主力機〈アイゼンリッター〉D型をベースに、リザ・バシュレー専用機としてカスタマイズされた機体。
ダークブルーの塗装が特徴である。
ミトラス・グループによって開発された第3世代機〈アシュラベール〉の技術が一部で使用されており、肩部ハードポイントや新型人工筋肉などにより、2.5世代機相当の機能を獲得している。
リザの習得している特殊な操縦技術を最大限に生かすため、テロス合金を加工して作られる超硬度バックラーシールドなど、独自の装備が用意された。
機体各所にミトラス・グループの独自技術が用いられ性能向上を果たしているものの、正規品とのパーツ互換性は高く保たれており、ユニット化された部品の交換で修理が簡易に済むのが利点。

武装
・胴体固定武装:6.8ミリ機銃
・左肩部ハードポイント:光波シールドジェネレータ
・右腕部:30ミリ騎兵砲…大型電磁機関砲をベースに全長を短縮したモデル。威力や射程は低下した。
・左腕部:超硬度バックラー・シールド
・腰部ハードポイント右:60ミリ対戦車拳銃…大口径リボルバー・グレネードピストル。




・〈アイゼンリッター〉コマンド仕様
ベガニシュ総督府の治安維持部隊、特殊作戦課によって運用される量産型バレットナイト。
帝国陸軍で制式採用されている現行主力機、〈アイゼンリッター〉D型をベースにチェーンナップされている。
D型の売りは全体的に向上した機体性能、そしてエネルギーバリア=光波シールドジェネレータの運用能力であるが、コマンド仕様では装備されていない。
これは本機が味方歩兵部隊との共同作戦を前提に仕上げられているからである。
防御装備としては複合装甲のシールドが採用されている。
この盾の縁《ふち》にはスパイク状の突起が付与されており、歩兵の突入支援でドアや壁を破壊する際に用いられる。

モーショントラッカー、音響探査装置などセンサーの強化などが図られている他、足裏には軟質素材が使われ歩行音の低減も行われている。
全体的に閉所での戦闘に適したセッティングとなっている。
背部ハードポイントの搭載ユニットを換装することで、電波妨害装置や偵察ドローンも搭載可能。

ここ数年間続いていた大陸間戦争の最中にも、ベガニシュ帝国は併合したバナヴィアの統治に苦心していた。
バナヴィア王国残党やその流れをくむテロリストの掃討作戦のため、西ベガニシュ特殊作戦課などと称される部署が新設された。
彼らの任務はベガニシュ帝国に逆らう反逆者たちの鎮圧であり、その多くは歩兵や軽装甲車両だった。
このため敵軍の戦車やバレットナイトを相手取る正規軍のバレットナイトに比べて、比較的、軽武装が好まれている。

武装
・胴体固定武装:6.8ミリ機銃
・胸部ハードポイント:増加装甲
・背部ハードポイント右:発煙弾発射機、電波妨害装置、小型偵察ドローンなど
・背部ハードポイント左:12.7ミリ3銃身ガトリングガン
・右腕部:超硬度重斬刀(メッサー)、20ミリ電磁機関砲、多目的散弾砲など
・左腕部:複合装甲突撃シールド





・〈G9大型自動拳銃〉
ベガニシュ帝国の銃器メーカー・グレーザー社の9番目の自動拳銃。
ほうき型ハンドルと呼ばれる独特の丸いグリップ、グリップ前方に配置された脱着式箱形弾倉、長く伸びた銃身など特徴的な形状を持つ。
銃弾を電磁バレルで投射する電磁加速式銃器の一種であり、出力を切り替えることで威力や発射間隔を調整できる。
このため銃を構成する部品やオプション装備が高度にモジュール化されており、組み替えることで自動小銃、短機関銃、拳銃として運用可能なモジュラーウェポン。
脱着式の銃床を装着することで自動小銃と同等の威力、射程、精度を誇るレールガン・ピストルカービンとして運用することが可能。
この銃床には大容量パワーセルが内蔵されている他、余剰スペースに銃本体を格納することが可能である。

貴族制が現役であり、戦士の文化を重んじるベガニシュ帝国では、自分好みに細やかな調整が利く武器の需要が大きい。
このため軍で制式採用される自動拳銃――〈BP281拳銃〉――とは別に、自分用にカスタマイズされた拳銃を求めるユーザー層に〈G9大型自動拳銃〉はぴったりだった。
その標準的自動拳銃と異なるシルエットも、ユーザー受けがよかった一因と言える。
かくして〈G9大型自動拳銃〉は軍に制式採用こそされなかったものの、高価で高性能な騎士の銃として少数生産が続けられている。
箱形の複列弾倉で7.5ミリ弾を使用。小銃モードの高出力射撃では、自動小銃と同等の射程・威力を発揮する。

モデルはモーゼルC96。







・〈BG45小銃〉
ベガニシュゲベーア45型。
標準的な性能を持つ、というよりも自動小銃の標準を作りあげた電磁式自動小銃《ガウスガン》。
ベガニシュ帝国製の自動小銃の決定版であり、現在、帝国各地の兵器工廠や銃器メーカーによって生産されている。
バナヴィア戦争から大陸間戦争まで、帝国の直面してきたあらゆる戦争で使用されてきた。
その政治体制はともかく、軍事技術・軍事力に関しては世界一の超大国が開発しただけあり、自動小銃としての完成度は高い。
軽量・頑丈・反動制御が容易・よく当たる・故障しない――おおよそ現場の兵隊が求める要素がそろっており、大量生産の恩恵で価格も安価。
自動設計AIによる生成物に、人間が調整と修正を重ね続けて生み出された工業製品の極み。
このため造物塔(遺跡の生産プラント)を持つ国では、積極的にリバースエンジニアリングが試みられ、世界中にデッドコピーが存在する。
口径6.8ミリ、装弾数50発。


・〈K54騎兵銃〉
ベガニシュ帝国で使用される騎兵銃《カラビナー》。〈BG45小銃〉をベースに、密林戦や屋内戦に対応した短縮型小銃として再設計された騎兵銃である。
銃身の短縮、伸縮式銃床によって全長が短縮されており、部品の互換性も高く、銃の操作も原型となった小銃と同様である。
統一規格のレールシステムによって様々なオプション装備を搭載可能。
ちなみにベガニシュカラビナーではない理由は、頭文字がBKとなってバレットナイトと紛らわしいため。
クロガネ・シヴ・シノムラの配下であるヴガレムル伯爵軍が装備している他、ベガニシュ帝国の特殊作戦課などの特殊部隊も運用している。
その優れた性能から、法執行機関や警察、軍の特殊部隊、貴族領の私兵に至るまで幅広く採用している。
口径6.8ミリ、装弾数30~50発。




・〈LA63小銃〉
ランドアームズ63型自動小銃。バナヴィア王国軍で採用されていた電磁式自動小銃《ガウスガン》。
グリップと引き金より後部に弾倉を配置した、いわゆるブルパップ方式が採用されている。
これは銃の全長を抑えつつ、電磁投射に必要な電磁バレルの長さを確保するための設計。

こうした設計が功を奏し、〈LA63小銃〉の基本モデルは、カービンモデルである〈K54騎兵銃〉よりも全長が短い。
重心バランスはグリップを中心に均等になるよう調整されており、使用時の疲労が少ない。
マガジンがグリップより後方に配置されているため、〈BG45小銃〉で可能なクイックリロードに比べると弾倉交換速度は遅いのが難点。
銃の部品がほとんどモジュール化されており、交換が容易なのが利点である。

銃口に差し込んで使用する小銃用グレネード(銃口に差し込む部分が磁性体金属で、電磁バレルで投射される)が使用可能。
口径6.8ミリ、装弾数50発。
バナヴィア独立派では継続的な改良が続けられている。

モデルはステアーAUG。



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