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「機甲猟兵エルフリーデの屈折した恋愛事情」の世界設定まとめ(4)






・恒星球殻〈オラトリオ・ノウェム〉
第九次建造計画によって作られたダイソンスフィアとその内部に作られた閉鎖世界。
人類の文明全盛期、■暦■■■■■年ごろに建造され、恒星寿命が100億年保障されている比較的小型の恒星がベースに選ばれた。
建造から2万3000年後、■暦■■■■■年ごろに起きたエーテル粒子砲〈ケラウノス〉の暴走事故によって一度、文明レベルで崩壊しており、現在の人類はその生存者が再建したもの。
経過時間は10万年。
その際にこの世界が恒星間文明の末裔であることは忘却されているが、科学的観測からこの世界が人工物であることは一部の学者に突き止められている。
それを信じるかどうかは宗教観との相談であり、保守的価値観が強い現在はまだ少数派の妄言。
内部には重力制御デバイスによって1G環境が再現されており、人類の生存に適した大地と海原、限界高度100万キロメートルの天空が作られている。
この世界での太陽とは核融合プラズマを用いた人工照明であり、月とは環境再現のために設置された衛星に過ぎない。




・天の業火/自在軌道戦略熱線砲〈ケラウノス〉
神話の時代に罪人の都を焼き尽くしたとされる超兵器。巨大な塔に似た構造体だが、現在はそのほとんどがサンクザーレ森林地帯の地下に埋没している。
かつてこの世界で引き起こされた大災害の元凶。
文明規模の破滅に伴うデータ消失、〈ケラウノス〉そのものが自己封印措置を実行していたことが重なり、存在座標がわからなくなっていた。
クロガネが旧バナヴィア王国の領土に活動拠点を設けたのは、この極めて危険な施設の探索のためである。

その正体は先史文明種《プリカーサー》が建造した超巨大エーテル粒子加速投射砲。
権力基盤が不安定化しつつあったプリカーサーの支配者層が、反乱を鎮圧するため作りあげた戦略兵器であり、理論上は光速の99%の速度でエーテル粒子砲を発射できる。
着弾地点では物質構造が崩壊し素粒子レベルまで分解されてしまう。また二次被害としてガンマ線の嵐、荷電粒子と衝撃波の壁が周囲を薙ぎ払う。
極めて単純明快な原理に基づく大量破壊兵器であり、その総エネルギー量ゆえに同等の文明レベルでは防御が困難である。

この兵器が建造された理由としては、当時、すでにプリカーサー文明の指導者層の間で反体制分子への疑心暗鬼が広がっていたことが挙げられる。
人間はおろか高度汎用人工知能にすら、反乱への関与の疑いがあったことにより、如何なる手段でも無力化できない粛清手段が求められたのである。
このような費用対効果の面で最悪の選択がされてしまったことに、権力構造が固定化された当時の社会の欠陥があると言える。
あるいはその建造そのものが、破滅的な反体制分子の誘導であった可能性も疑われる。

〈ケラウノス〉はキロメートル級の超巨大構造体であるエーテル粒子加速器=砲身と、エネルギー保存の法則に反した高次元結晶細胞《アカシャ・セル》による動力炉を持つ。
ある種の事象改変粒子であるエーテルに事前にプログラムすることで、発射した熱線を歪曲・分岐させ、天の業火として球殻世界のあらゆる場所に到達させることが可能。
この兵器の暴走事故によって自らの文明を焼く致命的事態に陥ったプリカーサーは滅亡、環境再生プログラムの発動を経て現在の人類の世界が始まった。




・機甲駆体《バレットナイト》の世代について

【第1世代】…実用化が20年前
現在では第一線を退いた最初の機体群。
人機融合システム・サイバーコフィン=電脳棺を核とした人型フレームと、これを駆動させる人工筋肉の駆動システムを装甲化した存在。
遺跡の生産プラントで手に入る部品で組み上げられた人型装甲車と呼ぶべき存在。
電装系は電磁投射砲の使用を前提にしているものの、エネルギーシールドやビーム兵器などの高エネルギー兵装の運用は考慮されていない。
バナヴィア戦争で活躍。

該当機種…〈パンツァーゾルダート〉



【第2世代】…最初期型が12年前
第1世代駆体の反省点を踏まえた改良が施された現用機の世代。
ベガニシュ帝国では機甲駆体同士の直接戦闘を想定し、小口径・高速の運動エネルギー弾を発射する電磁加速式火砲を搭載するものを指す。
モジュラー武装システムによって戦況に応じて武器を迅速に交換できる他、武装ハードポイントを兼ねたバックパックに大容量パワーセルを内蔵。
ベガニシュ帝国では指向性エネルギー兵器・熱線砲やシールド発生装置などの高出力兵装の運用を前提にしており、エネルギー供給システムが全身に組み込まれている。
また実戦での近接戦の多さから、装甲と駆動フレームの強化が計られており、第1世代に比べて大型化の傾向にある。
この世代から三次元的な戦闘機動、つまり|跳躍《ジャンプ》が可能になっている。

該当機種…〈アイゼンリッター〉、〈ブリッツリッター〉、〈M3エヴァンズ〉など。


【第3世代】…コンセプト模索中の概念実証機・技術実証機の段階
さらなる高性能化が見込める次世代兵器システム、とされている。
そもそも定義や概念の時点で曖昧。
スピンオフ技術を還元した2.5世代機の段階で、ビーム兵器やエネルギーバリアを実用化しているため、これ以上の高性能化が必要なのかという懐疑的視点もベガニシュ帝国内では根強い。
同種の装備を使用してくるであろう、敵側の光波シールドジェネレータを貫通するための武装の模索が行われている。
また帝国先進技術研究所やミトラス・グループでは、まったく新機軸の推進システムの搭載を検討している。
これは自動生産プラントに実物を作らせるという従来工程と、在野の天才設計者たちに演算装置を使わせてシミュレーションを行わせる新しい手法を用いたもの。
次世代人工筋肉による高い運動性と、ジェット推進・ロケット推進を組み合わせることで全く新たな機動概念を獲得できるとされている。

該当機種…現段階では情報開示されていない。











この世界では航空兵器の概念がものすごく歪です。
遺跡の生産プラントがティルトローター機などの便利な乗り物や、地対空ミサイルやレーダーを早期に与えたことで、技術ツリーや航空戦の概念そのものがぐちゃぐちゃです。
空中戦を目的とした飛行機=戦闘機も概念として登場していません。
レシプロ戦闘機もどきを作るより、遺跡の超すごい3Dプリンタで地対空ミサイルを作る方が安いからです。

そしてバレットナイトは、現実世界でいう世界大戦の頃の戦車に該当する概念です。
陸上駆逐艦〈ペネテシス〉のブリッジクルーの感覚は「ティーガー2が亜音速で空を飛んできた」のに近いです。

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