先日、書店の通路をぶらぶらしていて、上橋菜穂子さんの『鹿の王』全5巻を買ってしまった…。
どうして、いま、この時期に?
血迷ったとしか思えない!
あと10話と少しで、ほぼ1年を書けて書き直している『白麗シリーズ』①が二度目の完結を迎えようとしているのに。最終章は大幅に改稿するつもりなので、ほんとうは読書を楽しむ心の余裕も時間の余裕もないはずなのに。
ああ、脳みそが現実から逃げたいと叫んでいるのに違いない…。
ところで、『鹿の王』を読み始めて気づいたことがあった。
『鹿の王』の舞台は、上橋菜穂子さんが作り上げた架空の国のお話で時代設定もまったくの架空。
そうなんだ、ファンタジーって、『指輪物語り』みたいに、場所も時代も作者が作り上げていいのだ。それなのに、私ってなぜ、『白麗シリーズ』を書くにあたって、中華ファンタジーに設定することにこだわったのだろう?
場所と時代を古代中国らしくするための、あれやこれやがものすごくストレスだ。常に、「生活様式や衣装描写が、実際の古代中国と違う!」という指摘を怖れている。
しかしながらファンタジーって自由なんだと知ってしまえば、舞台となる場所の地図から書き上げて、そこのさまざまな景色と季節の移ろいを想像力を駆使して書きたいなあと思い始めた。登場人物たちの衣装も自分でデザインしてみたい。
ああ、もう一度、初めから書き直そうか…。
キーボードを叩く手を休めてそんなことを夢想している私って、やっぱり、<完結>の重圧から逃避しているんだろうなあ。