たくさん直したなあ、という原稿の跡を見て、もう一年が経つのだと驚く。
私は一年前に、掲載したのは一年以上も前になるのだけど、「鎖骨」という物語を書いた。
祈りにも似た物語だったように思う。無我夢中で書いたあの日々はとても楽しかった。
言葉を追って、彼らの道標を追って、書いた物語の日々だった。
物語を書く時、表現ひとつに気を張る。
これは私の自己満足でしかないけれど、それでも私は、変わらずに書くのだと思う。
「鎖骨」は祈りにも似た物語だった。
「鎖骨」は病弱な青年と、幼馴染の軍人の物語だ。
七つの頃に病弱な青年が外に出たことから、ある意味始まりとも言える物語は彼らの終わりの時まで続く。
「人」の物語だと思う。あの物語は確かにあの時代を、あの日々を生きた彼らの物語だった。
迷いながら進んで、それでも、と、主人公がようやく選び掴んだ答えは年月で見ると長いかもしれない。
それでもその年月こそが彼らにとって必要なものだったことだけは言える。
私は、「鎖骨」という物語を本当に大切に思っている。
その時に頂いた応援コメントやレビューは画像に残して元気がない時に見返している。
あの時、レビューを書いてくださった方々にはもう、本当に感謝しかない。今も私の宝物だ。
この物語は今、非公開にしている。
本にする予定も、公開する予定も今のところはないけれど、いつか、お披露目することが出来たなら、良いなと思う。
いつかのその日に祈りをこめて。