会話劇、話し方の似通った人物同士。
しんどいですねー、挑戦してる方はすごいです。好き勝手にしゃべって、すごーく長くなりました。
*似てるキャラで話してみなよ。
「やりたきゃ会話劇オンリーの『ガンナーズ』でやりゃいいと思うんだけど、そっちは似たキャラ同士の会話は避けてるんだと」
「へー、避けられるの?」
「避けられねぇよ、そういう時は二人で会話だ」
「なるほど? じゃあ、会話の前に名前入れたら? 昔やってたじゃないか」
「読む時の抵抗感に慣れるまで、時間かかるらしいぜ」
「体験談か」
「経験則だな」
「そんな理由でオレはここに連れて来られたのか、柊馬」
「読めねーから、しゅうまって、ルビふれよ」
「は? ともかく、オレは前作ですら書かれてないんだぞ」
「あとで冒頭に付け足されてたじゃん、お前」
「オマケみたいに言うな。非公開になるまでだ、相当、短期間だぞ。話に関係ない存在だったから、忘れ去られてるよ」
「それ、言っててむなしくならねぇ?」
「おまえな……」
「でも、今はオレとお前だけなんだよな」
「そうだな。しかし自分たちが似てるとは思えないんだが」
「顔突き合わせて互いの声きこえってからだ、気のせい気のせい」
「はっきり言おうか、いっしょくたにされるのはゴメンだ」
「あのね、イヤでも毎んちツラ見れる白髪野郎とオレだって話すことねーよ、オレに文句言うな」
「白髪じゃない銀髪だ、天然ワカメ頭」
「雨の日に増殖してたまるか、このむっつりヘタれドクターがっ」
「誰がむっ……」
「オーイ、オーイ、オレのこと忘れてなーい?」
「うっせ、帰れミューシィ!」
「彼を呼んだの?」
「呼んでねーよ、二人なら交互に話してる限り見分けつくじゃん? だから、三人目だよあれは」
「……もう役目は終わったようだよ! ミューシィくんっ!!」
「いやいやいやいや、ほら、まだ来たばっかりだし、三人で話すんだろ、な。だからオレここに呼ばれたんだよな? リク、オレいちおう先輩じゃん? すこしは立て、」
「君に愛称で呼ばれる筋合いはない」
「ごめんなさい。だって柊馬が呼んでんじゃん」
「それも不本意」
「オレはいーの」
「同時に真逆のこと言うのやめろよ、お前ら。混乱するだろ」
「呼んでもリクに冷たい視線を送られるだけだ」
「むりだわー、それ。平気なのは心臓に毛が生えてるお前だけだかんな、柊馬」
「まぁ、軽くイヤガラセなのは認める」
「クズだな、そこに直れ、叩っ斬ってやる」
「おもしれぇ、早撃ちとどっちが速ぇえかな。ミューシィ、ジャッジだ」
「おいーっ!! 誰がやるかーっ!! 神魂剣も回転銃もオモチャじゃないんだぞ、お前らっ! 支給品だっつのっ! しまえよバカっ、なんなのただのバカなの、お前らいつもこんな簡単に血を見てんの!?」
「落ち着けよ、ミューシィ」
「うるさいよ、ミューシィくん」
「優しさのカケラもねーのか、特にホルスタインッ」
「それはそうだろう。女性以外に優しくする理由がないよ」
「……」
「うひゃひゃひゃひゃ」
「笑うなよぅ、柊馬っ、なんでコイツこんな説得力あるんだよ」
「説得されんなよ、てゆーか、慣れろよ。お前の後輩だろ?」
「君だってミューシィくんの後輩だろ」
「そうだけど、もとは同期だ。オレがダブってミューシィは中央に入局、で、ダブったせいで後から入って来たお前とも同期なわけ」
「純粋に先輩後輩関係なのは、オレとホルスタインだな。けど、オレと柊馬が寮生になる前から、ホルスタインは中央局下の大学にいたんだろ?」
「そうだよ。つまり見ようによっては君たちの先輩だから、丁重に扱ってくれてもいいよ」
「うわ、なんかムカつくな」
「なー、ちょっと面倒くさいだろ」
「ミューシィくん、中央局ってことは、出世コースだね」
「さらっとよく話題変えられるな」
「そうそう、こう見えてミューシィ、できのいいエリートだから」
「こう見えては、余計だろ柊馬? なぁ、こう見えてってどういうイミ?」
「こう見えて、法曹家を多く輩出してるドルアイナ本家のお坊ちゃんで、両親が検事」
「だから、どういう……」
「ふぅん」
「……」
「お前、実家から通ってんの?」
「いや、祖母ちゃんが門限とかケガとか、あと女とかにうるせーからムリ。社員寮借りてっけど、おかげで緊急召集にいちばんに駆り出されるぞ」
「お気の毒さん」
「オレんちの話きいても、ホルスタインお前、柊馬とおんなじ反応だな」
「? 政治関係の名声はよく知らないから」
「いや、助かる……」
「……ミューシィくん、兄弟は?」
「いねえ」
「じゃあ、祖母殿も心配するだろうね」
「まぁな。なぁ実家にどれくらいの頻度で顔だしてる?」
「それをオレたちに聞くのかよ、ミューシィ」
「実家の話自体、なかなかできねぇから」
「帰るわけないだろ、あんなおっかないとこ!」
「え、仲悪いの? 柊馬ってたしか男兄弟だったよな」
「彼の兄の一人は中央局の大学にいる。オレの知り合いだが、彼と同様に実家とは不仲で距離を置いてる」
「え、柊馬の兄ちゃん、中央にいんの?」
「ちなみに聞いてても信じられないくらい似てないから、オレも始めは驚いた」
「風馬兄はコミュ症なうえ、オレのことが純粋に嫌いだから会ってねぇ」
「実家には誰がいるんだ?」
「……親父と上の兄貴」
「いい人だよ」
「お前にはな!? 家事を仕切ってる早馬兄が過保護でめちゃくちゃ厳しいから、オレ帰ったら即殺される」
「ふぅーん。よくわかんねぇけど、仲が悪いって言うより、相性のずれか?」
「そうかもしれないね」
「そういうホルスタインは? その、家族とか」
「妹が一人だけ。親族は基本的に信用ならないし、距離を置くことが叶ったから、こっちに学びに来た。妹の見舞いに戻るだけだ」
「入院してるのか。こっちに転院させなくていいのか?」
「おいミューシィ、こいつは医者だぞ」
「ああ、そうか。事情があるんだな?」
「治療という領域をこえててね、研究者になったけれど、むしろ、何もしない方が彼女は安全だ。ミューシィくん、帰る家があるなら、そうこじれていないなら、顔を出せるうちに会っておいた方がいい」
「う。うん、わかった。オレは自分がめぐまれてるってことを、わかってなかったな。わるかった」
「あやまることじゃねぇっつの、マジメか! だからお前は壊れねぇって信用してんだかんな」
「おう。わかってる」
「ほがらかなツラしやがって」
「ところで三人で話すことにこだわっていたが、これでいいのかな、ミューシィくん」
「あ」
「なんだよ、カンベンしろよ。お悩み相談室じゃねーぞ」
「そういうんじゃねーよ。なー、カノジョほしくねぇ?」
「悩みじゃないってこた、言いたいだけか」
「というより、彼は言い合いたいんじゃないか?」
「なー。カノジョほしいよな?」
「娼館行けよ!」
「そーじゃねーよー、わかるだろー?」
「うぜぇ」
「柊馬、顔が第一級殺人になってるぞ」
「わかるって言えよしゅうまあ」
「……」
「口パクでなんとかしろって言われてもねぇ」
「リクに共感求めろよ!」
「アイツはだめだ、オレらの知らない世界を知ってる気がするんだ、カノジョいますって顔に書いてある!」
「いねーよ! お一人様だよ! うら寂しい独り寝のぼっちだよ!」
「なんで、お前が言うんだ柊馬」
「だって、そうだろうがっ」
「夜な夜な歓楽街に入り浸ってるお前に、さびしい奴よばわりされたくない」
「柊馬、お前変わってねーなー、それで中央局左遷されたの忘れたのか? こりねーなー」
「うるっせ、規範に遠慮して口説かないとかおかしーだろ!」
「どうなんだこれ、ホルスタイン。まっとうなこと言ってるように聞こえるんだが、柊馬に騙されてる気がするのはオレだけか?」
「まちがいなく、規範があるから危険をおかして口説きたくなるんだろう」
「意味わかんねーよ、もー、その身を滅ぼす生き方やめろ、ホルスタインに迷惑かかるだろ」
「コイツはオレがどこで何してよーが、気にしねーよ」
「そうなのか?」
「あぁ………………心配してるかもしれなくもない」
「「どっちだよ」」
「そのうち、できるよミューシィくん」
「真顔で話し戻したー、え、これカノジョの話に戻ったの? しかもなんか、言い方が上から目線じゃね?」
「いちいち動揺して涙目になんなよ、オレ涙腺ゆるいんだから、意味もなくもらい泣きするだろーが。マイペースっつーか、あれで通常運転だよ。お前にカノジョが一生できなかろーが、すぐ作ろうがまっったく関心がないんだ。よく見ろ、つくる努力をなぜするのかわからない、一度もしたことのない顔してんだろ」
「なんっっだとっっ……!? ちょっと顔が整ってて背が高くて、長めの銀髪で目が海みたいに青くて、声に落ち着きがあって、見た目がさっぱりしてるだけじゃないか、オレと何が違うんだ」
「……今言ってたとこ、ぜんぶだろ」
「くやしくないのか、柊馬っ」
「くやしくねぇよ、負ける気しねぇもん」
「その根拠のない自信がうらやましいっっオレはっ」
「根拠がないってゆーな、失礼だねお前」
「お前だってホルスタインとぜんぶ違うじゃん」
「ミューシィなぁ……」
「さっきから何を話してる? いい加減もう帰るぞ」
「ホルスタイン、カノジョのできないつらさがお前にはわからないっ!」
「……できないつらさはわからないけど、いないつらさはわかるよ」
「リーク、てかげんー、てかげんだぞー」
「お前ら何言って、」
「でも、つらさがわかったとして、何になる? それで事態が変わるの? 何も変わらないよね。本気でどうにかしたいと思ってない人間のぐちを聞いても、仕方がない」
「いないつらさがわかんのに、なんで優しくできねんだお前ー!」
「自分に責任がないとでも?」
「うぐ」
「憐れだな」
「言い過ぎだお前、ミューシィに謝れ」
「――すまない、感情的になった」
「ほれ、ミューシィも言っとけ」
「むぅ、納得が」
「察しろよ、そこは。子どもか」
「いいよ、柊馬。ミューシィくん、またいずれ」
「あ、おい。――あんのバカ」
「ホルスタインは怒ったのか?」
「いや、怒ったり泣いたり笑ったり、アイツそーゆーのしねーの」
「同情もか」
「ミューシィ、だいたいお前の言ってることの方が合ってるけどな、ホルスタインに求めるのは酷だな」
「柊馬、お前さっきオレをけしかけた時と、言ってることが逆じゃね?」
「イヤガラセはオレの標準装備ですから」
「その加減わかんねぇから、ちゃんと止めてくれよ」
「いんだよ、アイツもあれくらい思い知った方が」
「だから、言ってることがさっきと違うだろ」
「お前に謝ったから、アイツはだいじょーぶ。お前はまだ納得できねーの? 世の中、納得できることばっかじゃねぇよなぁ?」
「いくら事情を知らなくても、無神経だったなら詫びたいと思うよ」
「それ、そのまま言えば。オレが話すことじゃねーし」
「なんで、お前は知ってんの? 最初の配属先は別々だったよな、左遷されてから仲良しなのか?」
「誰が仲良しだよ、あのマイペースっぷり見ただろ、大変なんだぞ」
「素行の悪いお前と付き合う方が大変だと思うけどな」
「知らねー」
「あ、逃げた」
「んー違ってたら訂正してくれ。オレ、女はその場限りだけど、友達付き合いはいい方なんだわ」
「そうだな」
「オレが先に知り合ってたのは、ホルスタインじゃなくて、アイツの彼女の方だった。オレのダチだ。だから、彼女がいる時といない時の両方を知ってんだ」
「……そういえば、寮生の時からお前ホルスタインとつるんでたよな」
「つるんでねーよ、研究員から寮生になることを勧めたからな、あとは勝手にしろってわけにいかなかったんだよ」
「いい女だったんだろうな」
「アイツにとってはな」
「お前は?」
「話のわかるいい奴だった」
「そうか……」
「ミューシィよ、ホルスタインのどこでも一個でもうらやんだら、お前の負けだかんな?」
「なんだよ急に、似てねーことくらいわかってる」
「すねんな、でもってひがんでも、同じだよお前の負け、そーゆーとこ慎重すぎるから心配よ」
「うう、教官と同じこと言うなよ柊馬」
「教官じゃなくて、今は副総官だろ。何おまえ、シンに恋バナ相談してんの?日照りすぎて発狂したの? それともただのど阿呆なん?」
「するかっ、恋バナなんて! ただ、たまに教官がかわいく見えて仕方ねぇんだ」
「わぁお、ミューシィってそっちの気あったのね、カミングアウトにドン引きだよオレ! 貞操守った方がいいのコレ」
「お前かわいくねーから安心しろよ、貞操なんてあるタマじゃないだろ」
「なんかカチンときた、こう見えてケガレのない身体よ?」
「お前、ふつーに教官が人気あるの知らねーの?」
「鮮やかにムシすんな。知ってっけどいちおー、でも、あの人ストレートだし」
「そこがいーんだよ!」
「うるせーよ、どの口がさっきまでカノジョ募集してたんだよ」
「お前は教官と親しくていいよな、うらやましいよ」
「やーめーろ、醜い嫉妬に巻き込むな。あのな、かわいく見えても、無害に見えても、あれは鬼のように怖いんだぞ? むしろ鬼そのものだと思うわけよ、断じて愛でる要素はどこにもねえ!! そうだろーが!? 無慈悲なしごきを忘れたのか!!」
「お前は教官の……、大人の男の素敵さをわかってない!!!」
「うるっせ!! このバカミューシィ!!」
「いでででで、鼻もげる鼻もげるっ」
「この世でいちばんイイ男は、オレに決まってんだろ!!」
「おま、正真正銘のバカかよっ!?」
END