〈白加賀と豊後〉
庭の青梅を先日収穫しました。わたしではなく、祖父と孫で。
わたしの祖父か祖母が亡くなった時に植えたのだと聞いたのは、随分最近のことで、その両方か二本ある梅の木は、年下ということになりますが、物心ついた頃から見ているため、わたしにとっては兄か姉のような馴染んだ存在です。
まだ大寒だろ!というこごえた朝に咲いているのを見つけると、春か春が来るのか、梅はそれを知っているのか、じゃあ信じてもうちょっと耐えるわ。
と感じられもしない春の訪れを頑なに信じてみようという気になったものです。
剪定されカクカクと書道のように曲がった枝ぶりも、景色はどこも白と黒なのに色づくように匂ふ香も、桜より好きなのは凛として骨身にしみるからでしょうか。
梅の実は一晩水に放ち、次の日には砂糖漬けにします。できあがった梅ジュースを紅ふうきやジャスミン茶で割るのが近頃のひそかな楽しみ。
甘酸っぱさとすっきりとした飲み心地は、夏の暑い盛りにはいい補給になるかと。
穫ってくれた梅が変身する姿を教えて、また来年もがんばってもらいましょう。