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裏エッセイ

(性懲りもなく再び同じ映画を紹介する。ネタバレあります、ご注意)

自主企画の映画エッセイコンテストに参加中です。
真面目に映画紹介をした反動がやって来た。

「ゆれる」と言えばつり橋です。
映画のタイトルなんですけど、つり橋が大きなポイントで、まー不安定なそれぞれの心境にもなぞらえてあるわけです。

この映画において不穏なイメージの象徴。

わたしは観て面白かったのだけど、そういえば家族が誰も観てないんですね。感想を誰とも共有してないよ。

オダギリジョーが好きなら観ていいんじゃない?という感じです。

都会ナイズされクールで尖ったオダギリジョー、設定にある田舎出身さ、まともでいようとする心の向きをヘタれな弱さで見せるオダギリジョー。

彼がやる弟は監督の悪夢に出てくる監督自身の投影なので、

弟への指示はブレを許さないものだったと見受けます。監督の生理的な感覚=弟=オダギリ。
+付き合って来た男の嫌な部分を詰め込んだという演出は、ぞわぞわしました。

痛みに目を見開くような、冷静さと迫るもの。

弟に疑いの目を向けられる兄を香川照之がやっていますが、

怪しすぎて、いい人なのか、真面目さがイタいだけなのか、やっぱり裏の顔があるんだろう、なのかさっぱり。

ちょっとお兄ちゃんの頭に血がのぼると、キレてるのかなって感じてしまう。

キレてるの、行き過ぎてるの、紙一重。

弟も混乱。

兄を犯人にするも、しないも目撃者である弟の言葉にかかっている。

葛藤、クールになんてしていられない。なんの役にも立たない。正義を果たそう。
尖ってたはずの男はどこへ?結局真っ当であろうとするのか。

兄を庇わないのか、たった二人の兄弟なのに。
それが真相だと信じて証言する。

物語は弟をやんわり糾弾する。お前は自分の都合のいい真実しか見ていないんじゃないのか。
兄とともに自分も苦しむ道を選んだだけなんじゃないのか、

兄の気持ちを察しながら、幼なじみを寝取ったこと、
その幼なじみと兄が言い争い、女の方がつり橋から転落したこと、

罪悪感があるのは誰だ?

無情なる事実はひとつ。

弟が追い詰められていくうち、観てる方も、え、これ、どっち?

なんか弟てめーのことばっか考えてんなってなっていきます。

ところで、兄弟の間で揺れ動くというよりは、里帰りした弟の方にあたしを東京に連れて行って!こんな町うんざりなのっお願い!って人に頼る女を演じたのは、真木よう子でした。

まだ知名度なかった頃だと思いますね、気づかなかったから。
見たことないなー、若いだけで地味だなー。当時の印象。

「ゆれる」以前の監督の映画は知らないのです。この後は注目してましたが、ディア・ドクターがひどかったので、なんというかありそうな話。笑えないリアルな話。笑えないならえぐるのかと思いきや、ふわふわでなあなあで終わる。
困った。面白そうな話なんですがね。
好きな方もいらっしゃるかと思いますが。
短いスパンで、時間の経過とともに局所地域で起こることを切り取るのが、監督の得意とする描き方です。

ですっかり注目しなくなり、一昨年あたり永い言い訳を見て、ようやく、あ、西川監督ひさしぶり、と思った次第。

永い言い訳は、
最初の散髪のシーンが好きです。最初かい! 言葉にしないけれど、隠し事が全部バレている、でも言わない、夫婦のヒリヒリ感ピリピリするから、やめて。

わたしは本木雅弘の演技が苦手であるが、これは見れました。

中国の鳥人もいける。でもブラックジャック(ドラマ)がだめだー。

本木さん自体は好きなのですが。演技は演技。
そういえばパンフには奥さんのややこさんがコメントしています。
映画のチラシを撮影したスタッフの談話もあり、普通あまり載せないものが載っているパンフが面白い。監督のこういう所が、面白い。

目さんが西川監督より是枝と言っていたので、ヒューマンドラマはそちらがおススメかもしれません。



ん? 紹介になってないかも。

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