うさぎは誇り高き戦闘民族

出だしは現代の世相を鋭く簡潔に描いているようでしたが、途中からおや？という方向に変わってゆきます。あり得ない、あって欲しくないけれど、……あり得てしまうかも知れない…。そんな不穏と…続きを読む

テーマが『光』だからでしょうか。眩く美しい光、凄絶な闇のコントラストを思わせる短歌が収録されています。時にはくすりと笑うものも、ちょっと切なくなるものも、優しく癒されるものもあれば…続きを読む

駄目な句とそれに対するツッコミが、落語を見ているようで面白いです。子どもってこういう発想するなあ…と思わせるリアリティ、説得力がありますね。すごく面白いですー！

世界設定と、それに説得力を持たせる筆力が素晴らしいです。水族館の深い青と少女の一途な思い、紆余曲折を経た再会の喜びが印象に残ります。

不可思議だけれどどこか懐かしさを誘う、セピア色の夏の世界。それが爛れた情念によって凄惨な地獄に変貌する瞬間が、衝撃的です。風鈴の音さえ恐ろしくなります。

語り手の感受性や悩み、決意が伝わってきて、ぐいぐいと惹きつけられます。そんな日もある、そんな日もあったなあと、ほろ苦いような温かいような気持ちになりました。

怖いです。明らかになってゆく事実も怖いですが、「家族」の心の底にあった感情が謎のままなのも怖いです。
不穏な感情と理不尽な怪異の絶妙なコラボです✨

マイペースな雰囲気の妖精さんですが、言っていることは究極の真理です。ぞいや様の鋭い着眼点、考察の深みが、掌編からすごく伝わってきます。まさにexcellentです。

文体やストーリー展開はコミカルで読みやすいですが、随所にハッとさせられる言葉があります。個々人の生き方を大切にし、適当かつ暖かく見守る語り手が好きです。控えめに言って続編を読みたい…続きを読む

夏の暑さを忘れる恐怖を感じます。 理不尽さと救いのなさの塊のような群衆が、全てを振り払うかのようにして走る。後に残るのは脱落者だけ。「ハーメルンの笛吹き」の読後感に似た、気味の悪さ…続きを読む

文字、文章、物語を紡ぐこと。それを重ねるにつれて得たもの。失ったものが淡々とした筆致で描かれています。それだけに、ラストの一文が印象に残ります

父が語り手や母に向けた愛情、語り手が両親、子ども、孫に向ける愛情、子どもや孫たちが語り手に向ける愛情。それが時には言葉、表情や仕草、そして奇跡の光景によって伝えられ、伝えられた側も…続きを読む

本当に大切なものは、地位、財産、美貌、幸せな家族といった、誰しもが連想するような、それこそ「絵に描いた」ようなものではないのかも知れない。なんでそれが大切なのか、他人にも自分にも分…続きを読む

御作の中の言葉、描かれる光景は、必ずしも優しくはないです。残酷さや理不尽さ、偽善といった、人間の闇を感じますが、そこで投げない強さ、意志が好きです。最後の一行が闇の中の光のように感…続きを読む

芥川龍之介の「藪の中」を彷彿とさせる前半と、その違和感が臨界となり大崩壊してゆくラスト、すごく引き込まれました。怖い話です。

萩原朔太郎や内田百閒を思わせる作品だと感じました。雷が鳴る外界の不穏と恐怖、ちりめんじゃこの焦燥が伝わります。最後の一文にすごい力を感じました。