―英治母視点―
今日は母の日ということで、英治とお兄ちゃんからプレゼントをもらった。こういう日はちゃんと祝ってくれる優しい子に育ったとなぜか安心してしまう。いや、なぜかなんて思わなくてもいいわね。あの事件の後なんだから。
愛ちゃんも一緒にご飯を食べていった。今日はお仕事お休みだったから、私の手料理を。彼女は「せっかくの家族団らんなのにごめんなさい」と気にしている様子だったから、私は思わず言ってしまった。
「愛ちゃんだってほとんど家族じゃない」
そう言われた後、愛ちゃんは本当に嬉しそうに笑う。その表情を見て、彼女が今まで背負ってきたであろう重荷を感じ取ってしまい思わず抱きしめそうになった。何も言わなかったけど、英治の言葉から今日はお母さんのお墓参りに行ってきたのが伝わったから。そんな彼女を今日だけは寂しい気持ちにはさせたくない。
そう思って、私は彼女を食事に招待した。
食事が終わって、英治が愛ちゃんを送っていくことになった。別れ際に、愛ちゃんが少しだけ恥ずかしそうに、カーネーションを形どったチョコレートをプレゼントされた。
「いいの?」
今度は私が驚く番だった。愛ちゃんは、満面の笑みで笑う。
「ちょっと差し出がましいかもとは思ったんですが……」
一呼吸おいてから彼女は照れ笑いを浮かべて続けた。
「いつも本当のお母さんのように優しくしてくれるので、感謝の気持ちです」