―たい焼きを食べた後・一条愛視点―
家に帰って、部屋着に着替えて、ベッドに倒れこんだ。
今日も幸せだったとため息をついた。
「あーん、しておけばよかったな」
さっき、恥ずかしくてできなかったことを後悔して、足をバタバタと動かした。
今まで恋愛に興味がなかった自分だから、どうしても距離感がよくわからなくなってしまう。
そもそも、センパイと仲良くなってから、まだ1週間くらいしか経っていないのに……どうして、こんなことに……
「運命ってことかな」
少女趣味のようなことを自分がつぶやくとはお思わなかった。
一瞬だけ驚いて、それでも感じる幸福感に自分の本心を教えられているように思った。
「そんなに好きなんだ、私……」
そう独り言をつぶやいて、枕に頭を預けた。
「次は、相合傘かな……なんてね」
ひとりのときだけは、正直になれる自分に少しだけおかしくなって、彼のことを思っていく。