―林さん視点―
放課後。珍しく一条さんに「ショッピングに付き合ってくれない?」とお願いされた。私は嬉しくて「うん」と答えた。
「お待たせ。行こっか」
校門で待っていた私を見つけると嬉しそうに手を振り近づいてきてくれた。それはまるで天使みたいに優しくてふわりとした質感を持っていた。周囲の視線が彼女に集まるのがわかる。やっぱり、一条さんは注目の的だ。
「今日はどうする?」
私がおそるおそる聞くと、「クリスマス近いから……一緒にプレゼントを選んでほしいの」と彼女は私に手を合わせてお願いしてきた。その仕草がとてもかわいらしくて、それでいて、1学期のころの彼女とは明確に違うもので……やっぱり、一条さんは変わったなと思う。
私の知っている1学期のころの彼女は孤高だった。でも、今は違う。雰囲気がとても柔らかくなって、笑顔も増えた。
もう、そんな表情を見せられたら断れないじゃない。断るつもりもなかったけど……
「いいよ。私ね、青野先輩が好きな作家の新作情報を持っているから教えてあげる!」
「ありがとう……あっ」
満面の笑みを浮かべた後で、私が察したことに気づいたのか、彼女の表情は真っ赤になった。見ているだけで当てられしまうくらい微笑ましい。
※
「ありがとう、林さん。実はずっと悩んでいたんだけど……おかげで決まったよ。やっぱり客観的な意見をもらえるのってすごい」
プレゼントを選び終わって、お茶をした後に一条さんはそう言ってくれた。
「役に立ててよかった」
私はつられて笑ってしまう。
「こうやってお友達とショッピングなんて久しぶりだから……本当に楽しかった。よかったらこれ……今日、付き合ってもらえたお礼に」
先ほど入った雑貨屋さんの袋を渡されて、私は一度は断ろうとしたけど、「そんなこと言わないで。本当に楽しかったんだよ」といわれて思わず受け取ってしまった。
家に帰ってから、袋を開けるとそこにはおいしそうなマカロンが入っていた。
甘いものが好きと昔話したことを覚えてくれていたんだと思うと、なぜだか一条さんのことがどうしようもなく愛おしく思ってしまった。