(作者)
あけましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いいたします。
私もゆっくりお正月休みを過ごさせていただきました。お正月特別短編を思いついたので投稿します。楽しんでもらえると嬉しいです‼
昨年最後の更新にたくさん感想ありがとうございました。全て確認させていただいて、少しずつ物語の方向性の悩みが消えていく気がします。
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―大晦日(一条宅にて)―
「いらっしゃい、センパイ‼」
彼女は笑顔で玄関を開けてくれた。珍しくエプロンをかけている。どうやら、年越しそばを用意してくれていたみたいだな。
「はい、これ兄さんたちが揚げた天ぷら」
今日は、さすがにキッチン青野もお休みなので、年越し準備だ。ただし、大掃除などの年越し準備で、二人とも力尽き、お前を相手にしている時間はないから、恋人の家で年を越せと追い出されてしまった。それにしては、天ぷらを作ってくれたりしているのは……
完全にアシストしようとしているよなぁ。
ちなみに、兄さんたちは年末に一挙公開された話題の海外ドラマを一気に見るつもりらしい。普通に元気じゃん。
でも、かわいい恋人と一緒に年越しできるなんて幸せだな。
「わー、美味しそう」
「昼に揚げたやつだから、食べる時はトースターで焼くといいってさ」
時計を見ると、19時を少し過ぎたくらいの時間だ。もうすぐ、紅白歌合戦が始まるな。遊びに来ても、あまり付いていることがないテレビが流れていて、愛さんの部屋は年末の雰囲気が増していた。
「わかりました。あっ、かきあげだ。私、野菜のかき揚げ大好きなんです」
「これは特別に海鮮もいっぱい入れたらしい」
「それって、最高ですね」
この前、一緒に見たアニメのセリフを再現して、彼女は笑う。釣られてこちらまで、笑ってしまった。
「久しぶりです、年越しそばを食べるの」
彼女の目は、一人で食べるのは寂しすぎたからと語っていた。
「今年からは毎年恒例の行事にしようよ」
「うん」
彼女は台所の椅子を引いてくれて、俺に座るように促す。
テーブルには出前のお寿司や彼女が用意してくれたハムやかまぼこを使った各種前菜、サラダやお刺身などのご馳走が用意されていた。
「じゃあ、食べましょうか。年越しそばも楽しみにしていてくださいね。母に教えてもらったレシピでおつゆ作ってみたんですよ、自信作です」
それを一人で作るのは、寂しすぎる。でも、俺のために思い出の味を再現してくれたことは、本当にうれしかった。
「そういえば、センパイ?」
美味しいご馳走に魅了されながら、目の前の最愛の人は少しだけ意地悪な笑みを浮かべて、俺をからかうのだった。
「さっきのセリフ、来年、その次の年もずっと、私と一緒にいてくれるつもりですよね? 嬉しいなぁ」
赤面して、何も言うことはできなくなってしまった。幸せな大晦日が過ぎていく。(続く?)