長門拓

　時は二十二世紀目前。気象制御技術は革新的に進歩し、天気は人が自由に決める時代となった。 　あらかじめ国により定められた“今日の天気”の暦――通称「ウェザーカレンダー」は、今や仕…

　医学部に所属する大学生が自殺した。 　みんな、彼の優秀さ、気立ての良さ、人間的な立派さを褒めちぎっていた。 　夢を語る機会があれば彼はいつも「医者になる」と言い続けた。 　…

身体が痛くてリハビリに励むわたしと、介護ロボットのロビの一日

「おかあさん！ あしたになったよ！」 「ゆうじ、今日が昨日になっちゃったね！」 「ホントだ！ すごいね！」 元気な男の子の名前は『ゆうじくん』４歳。 好奇心旺盛で何にでも興味を…

創作三国志。魏に仕えたのち引退した晩年の徐庶を、諸葛亮が訪ねてくる話です。いろいろ複雑な思いがあって敵味方に分かれたけれど、友人としての絆はずっとあったのではないかと思いました。

【KAC20231】ほうっておくと、次第になくなっていくものがあります。大切にしているはずなのに、それは欠けて、砕けて、失われます。

ふみふみ

毎朝バス通勤をしている澤田は、バスの中で本を読むのが日課。読書は憂鬱な朝を楽しいものにしてくれる。ある日、隣に座った男性が声をかけてきて―――。 いつもと同じバス、いつもと同じ席…

カクヨムWeb小説短編賞2023応募作品となります。 十五歳のスキル授与の儀。 俺は世界を壊すと言われる禁忌スキル【ぐちゃぐちゃ】を授かった。 KAC2023のお題「ぐちゃ…

喫茶店の看板娘、村咲菫（むらさきすみれ）は今日も放課後にお店を手伝っていた。そんな彼女のお店に訪れる友人や常連客との学園外で広がる学生達のひと時の日常を描く物語。

３０歳を迎えた主人公の男性。 彼は小学生時代に遊んでいたゲーム機を実家から持ってきてプレイしたことで、２０年前に知らなかった事実を知ることになります。 切ない思い出に勇気づけられ…

白鳥鷲介はすっかり日課となっていたカノジョ・早乙女琴音との通話で、琴音の母親が再婚――というか復縁をすることと、その相手にもコドモが居て、しかも双子であることを知らされる。 さす…

カクヨムWeb小説短編賞（2023）中間選考通過！ 1,000字未満の小品です。 他サイトになりますが、2022年12月開催の第4回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」…

アルファポリスにも公開。

短いSF小説です。廃棄物投棄場になっている惑星に住んでいるアンドロイドのお話です。

　おじいちゃん子のたかしはおじいちゃんがいなくなって、とっても傷ついていました。ですが、ある日おじいちゃんはお化けになって、またたかしの元にやってきました。 　ただ、それだけの簡…

華やかな街の近くに住んでいるその男はやる気を失っている。 ある夏、男はある感情に出会い自身の過去について既視感を感じてしまう。 チリーン。 あれは…風鈴？ この物語は…

世間は、私のような人を家出少女と呼ぶらしい。SNSの通知は鳴り止まない。スカートから伸びる脚を、私は誰に見せているのだろう。 ※この物語は、援助交際等の行為を助長・推奨するもの…

動物たちの仲良く暮らす「ユートピア」を守るため、変わり者のペンギンがニンゲンの町へと旅立った?!　童話風ファンタジーです。 ※第５回空色杯参加作品です。大賞ありがとうございまし…

人が消えてしばらく経つ地球では。 動物、植物、それとロボットたちが暮らしていた。 そんなある日。 自立型運送ロボットD-74 は彼女と出会った。

とり肉とエビによるＳＦからあげロボットアクション、開幕。 にわとり連邦宇宙軍は、敵であるエビ帝国宇宙軍・補給部隊への奇襲攻撃を仕掛ける。しかし、エビ達は予想外の素早い対応を取り、…

17世紀オランダの画家、フェルメールの作品を収蔵する小さな美術館に男の子がやってきた。「さいごの夏休み」のため、自由研究を考えているという男の子と美術館館長の物語――。 【三題…

創作三国志。三国志演義に、劉安という人物が劉備に自分の妻の肉を饗応としてふるまった話が出てきます。その妻の視点から書いた怪談のような掌編です。

世界が終わる時、魔力が強い2人は死と引き換えに他のものを救う。 その時に話すこととは？ ⚠この作品は小説家になろうにも掲載されています

戦後のある夏の日、一人の男が生を終えようとしていた。 かつて彼は南方の過酷な戦場から生還した。過去と今をつなぐのは最期の命令。 封印した記憶がよみがえる。 ※物語の時制が現在…

海に浮かぶ美術館。青年は作品展を観賞しようと美術館に来ていたのだが、誰もいない。諦めて帰ろうとするが、外に出られない。困り果てた青年は〈名も無い人物〉の作品展を観賞しながら、美術…

なぜ毎朝玄関に塗れた草履があるのか。それは息子の草履であった。ある日息子を追ってみると……。 ※実在する昔話を創作した作品ですが12歳以上を推奨します。 ※小説家になろうでも…

会社から東北出張を命じられた僕は、いつものようにスーパーカーゴこまちに乗った。

　成り行きで心理テストを受けることになった小西は、三枚のイラストを選ぶことになった。 　一枚目は、石畳の道が地平線へと伸びている砂漠のイラスト。 　二枚目は、麦畑が広がる、む…

おばあちゃんの趣味はぬい活でした。 孫のわたしのために、おばあちゃんはわたしのお気に入りのぬいぐるみたちとせっせとお出掛けします。

失敗は成功の母である。

「1コ100円から」 道ばたで、見かけた不思議な屋台。思わず立ち止まってしまった僕に、その人は言った。 まん丸なもの、楕円形のもの、小さいもの、大きいもの、まだら模様のもの、き…

『私』、趣味は夜にする小説投稿サイトでの読み漁り。 基本的毎日夜に小説を読んではそのまま眠る生活をしている。 ＳＮＳも使うし多少の交流はする。毎日同じことの繰り返ししかない日々の…

兄の謙一、妹の沙枝、そして兄の妻であり妹の親友でもある光梨。 三人の同居する見隅家で、本当に愛し合っているのは妻と妹だった。 折り合いと騙し合いの交錯する、NTR黙認型ガールズ…

ジャン・ポール・三木！　ジャン・ポール・三木！ジャン・ポール、ズン！ズン！ 　初めは「ダンボール……」って聞こえてたんですけど。 　一度空耳で刷り込まれると抜け出せないですよね？

　子どもの頃、死んだらどうなるんだろう、って考えたことは何度もある。生きる目的とは何なのか、という問いとセットにして。死んだら無に帰すんだから、真面目に生きていても無駄じゃないか…

会社のデスマーチで疲れて帰宅している途中で私はニャーニャー鳴いている動物を見つけた。 猫かと思って拾って帰ったが、それは火を噴くサラマンダーだった。

真夏のベランダで、ロマンティックムードに浸る「あたし」と、隣人で幼馴染の廉太郎くんとの、何てことのないやりとりです。 最近、80年～90年代の少女小説を読んでいて、自分も「あた…

親友の相川君は深宇宙探査機ヘルベイオンのパイロットになってしまった。時間が乱れた世界で私は大切なひとを繋ぎ止めたい。あの時刻共有サービスを使って。（全４回）

ある夏の午後にうたた寝をしながらテレビを眺めていた私は、いつの間にやら始まっていた映画の放送に見入っていく。 彼女の声を契機に明瞭になった人生を生きながら、私は彼女の姿を追いかけ…

すごく短い話です。

私のエピローグはこんなものだ。

量子脳にはあらゆる語るべき未来と過去が同時に存在していた。

人類史上初として打ち上げられた人工的な星座「よだかの星座」 その星座を巡る、数奇な運命の話です。

　ヨコハマ港に一隻の大型クルーザーが係留されている。ヨコハマニュータウンの経済中核となっている船舶カジノは今夜も盛況らしい。カジノ常連客である声楽家の御子柴梢江と精神科医である九…

天国へ行くか地獄へ送られるかの瀬戸際。 青年は目の前の閻魔に対して自らの人生とその罪を語りだす。 はたして彼の犯した罪とは、そしてその結末とは。