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あの蛸ちゃんはメス

年度末の三月でお忙しいなか、作品を読んで下さった方々まことにありがとうございます!
過分なレビューもありがとうございます!
感想もいつも美味しく、嬉しく、頂いております。
皆さんが公式企画のマラソンをしている間に、参戦していないわたしは隅っこのほうでコソコソと、下記の自主企画に作品を書いたりしていました。


▶自主企画「働く人の純文学」
日赤の看護婦(看護師にあらず)は徴兵される対象でした。「あかい十字」はそのことに触れております。
乳飲み子がいようが関係なし。赤紙と同じように看護婦にも招集がくる。
戦争から帰ってきた日赤の看護婦は怖かったというのも有名ですよね。
戦争中の看護婦については「レッドクロス」という松嶋菜々子さん主演の単発ドラマがあったみたいです。見てませんが。


▶自主企画「エロスの里」
……いえね、もともと、企画主さんがご自身の嗜好としてアポリネールって明記しておられたので、「おっ」と挙手したわけですよ。

「わかります、ああいう感じですよね! 
 御意! 御意でございます!
 奇遇ながらそれはまさにわたくしの得意とするところ!
 その系統ならこのわたくし半端ない心得があります、わたくしめにお任せ下さい!」

全権大使のごとく余裕ぶちかまして書き出したんです。そしたらまったく違う話が動き出して、もう笑うしかなかったです。
びっくりするくらい違う方向に飛んでった。

・官能小説
・エロ描写がある普通の小説

この二つは別物ですが、それですらなくて、過激な描写があるだけの普通の小説になってしまいました。
作品単体としては「背中の恋」気に入っています。エロスにならなかっただけで。

敗因は分かっています。
【現代ドラマ枠】
これです。
時代をどこかにずらした方がきっと企画に沿ったものが書けた。

こんなイケオジどこの世界にー!
とか、
外観は清楚で中身はどエロい人妻。おっさんの妄想おつかれ
とかでも、
時代設定を少しずらすと意外と書けちゃうんですよ。けれど【現代ドラマ枠】で官能小説を書くのはなかなかの難易度ではないかと。
「そういう場面もある、不倫・恋愛・バイオレンス小説」
ではなくて、
「官能小説」ですから。



これだけ画像・動画でお手軽にエロが閲覧できる時代にあっても、文章でしか出せないエロスはあって、その頂きにあるのが「文芸のエロス」で、一応格調高いということになっているようなんですけれど。

格調の高い官能小説、文芸のエロスっていうのは、ただの趣味です。
格調の高い文章でエロを書きたいという人が文才を生かして書いて、格調の高いエロが好きという人がそれを読む。
そうやって一部の好事家だけが「格調の高いエロ」を愛好しているっていう。

そういうのが好きな方々も、すごくおとり澄ました、スノビッシュな世界だなと想いながらそれを読む。
単なるスカした趣味の世界。
ゆめゆめ「これこそエロの最高峰」なんて想ってなくて、小説というファンタジーを通したエロのうちで、それが「趣味として好き」という感じ。
溺愛が好き、寝取られが好き、BLが好き、ロリータが好き、ツンデレが好き、こういうのと同列に「格調の高いエロが好き」という感じ。

さらにエロとは醸すだけの方がよろしいという傾向なんかもあったりしますよね。
滲み出るエロスが最も格調高くて素晴らしいと。
行間を読めと。
ほら深読みしてごらんそこには尊いエロスがあるでしょう? と。
でも書くなら、現場中継型のほうがはるかに難しいんじゃないかと。

春画の世界にも芸術性の高いものがあったりしてきれいです。あれはわたしにはデザインに見えて春画とはちょっと違うかなーって気がするのですが、これがちょうど文芸的なエロスと同じような位置づけですよね。
鈴木春信さんの春画なんかも美しく仕上げてあって、そんなにエロくないの。
文芸的なエロスもそれと一緒で、あれは単なるスカした趣味の世界。
他でもないわたしがそういうのが好きだから想うんですが。


モテモテの俺SUGEEEEは論外として、カクヨム人口100万人といえども、猥雑さや卑猥さをぶっかけて現場中継型の「官能小説」を書ける人というのは多分ものすごく数が少ないんじゃないでしょうか。
「蛸と海女」みたいなぶっ飛んだものをお描きだった葛飾北斎先生みたいな感じでごりごりエロ小説を書ける方がもしいたら、やっぱり書き手なら誰もが「あ、この人は別次元の文才を持ってるのね」と唸っちゃいますよね。

2件のコメント

  • こんばんは!
    近況もゴリゴリに面白いとか、朝吹さん最強やん。
    と、読んでて思いました(笑)

    格調高いエロ。確かに。
    でも自分は文としてなら醸す方が好みかもなぁとか、突然何いい出すんだって感じかもですが。肌は見えなくても衣擦れの音で良い、唇が重ならなくても吐息が交われば良い、みたいな。
    いや、ホント何言ってんだって感じですね。
    大学が文学専攻だったせいかちょっと嬉しくなってしまいました(^^;
  • つくもせんぺいさん

    近況ノートをのぞいて下さってありがとうございます~。辺境ユーザーなので好き放題書いてます。

    醸す方がいいですよね。ちゃんと醸されるには、それを成立させる前後の文章力の高さがあってこそですから。
    でも書く難易度としては現場レポートの方がはるかに難しいんじゃないかなぁ。「現代ドラマ枠」だとさらに。

    もとより書く人の9割の人は「めいいっぱい文芸的エロスに仕上げてみました」ここまでしか出来ないと想うんですよ。書けなくても醸すほうが上質なエロスといわれているので立つ瀬もあるし。

    表現者として踏み越えますか? 踏み越えませんか? という一線がかなり大きいんですよね。
    それを葛飾北斎みたいな方はひょいと越えていく。天才だから。

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