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音楽と小説

音楽と小説というのは深い関係にあると思います。三島由紀夫は「音楽」というタイトルの小説を書いていますが、それほど直接的ではなくとも、例えば源氏物語には源氏と頭中将の紅葉賀における式部が描く華やかな風景があります。またモーツアルトをこよなく愛したと言われるヘルマンヘッセのように古今、洋の東西を問わず文学者は音楽を愛してきました。一方で小説や神話はオペラや交響詩の題材となって音楽家へのインスピレーションを常に供給してきました。ワーグナーの曲やロッシーニ、ビゼーのオペラ・リヒャルト ストラウスやグリーグの交響詩などはその一例です。
こうした例と並べるのは恐縮ですが、「古事記異伝」の章立ては音楽を意識しています。「天地の章」は四幕のオペラを想定しています。従って章が極めて長く、読みにくいとは思いますが神代の話はオペラに親和性があると考えました。天之狭霧たちと大山津見のやりとりは子供たちが四声、大山津見がバスで、という感じで書かれています。「悲愴の章」は交響詩の形式を意識しています。倭建は常に放浪の身で、オイゲンシュピーゲルやペールギュントとどこか重なる部分があり、クリスピーな短い章立てにしてみました。最後の「悲恋の章」は橘の人生をオーケストラとして、それに纏わる人々を楽器とした協奏曲にように書いて行く予定です。

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