どうも。Twitterがバズってから三週間経っていることが信じられない浅原です。だってまだたまにRTとかいいねとか来るし。時間経つの早すぎるからスタンド攻撃を受けている可能性があると思う。メイドインヘブンの亜種。
今回は★やPVの少ない作品に絞り、僕が気に入った作品を紹介する「隠れ名作を見つけた」の第六弾です。今回取り上げる作品は、まず第一回の「隠れ名作を見つけた」で取り上げた前田尚氏のレビューをマイページから見て気になり、そして第五回の「隠れ名作を見つけた」で取り上げた犬飼鯛音氏もレビューしているのを見つけて更に気になり、読んでみたら面白かった作品となってます。コーナーで繋がった人からコーナーの紹介作品を発掘した感じですね。面白いと思った人が面白いと思ったものは面白いの法則。あると思います。
さて、今回紹介する作品はこちら。
六人の赤ずきん 著者: @icecrepe
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882837771 前回、前々回とラブコメを紹介してきましたが、今回はホラーです。僕が評価入れて★45になるものを「隠れ」名作扱いは失礼かなとも思ったのですが、既に★49を隠れ名作として紹介した前例もありますし、紹介することにします。以前カクヨムのトップページにあったネクストブレイクの定義が★15~★50だったから、暫定的に★50まではブレイク前と考えることにしましょう。あれ、ほんといつの間にか消えましたよね。トップページリニューアル直後はあった気がするんですけど。
さて、まずは作品の概要紹介から
舞台はとある寒村。主人公は村を訪れた「猟師」。その村は「赤ずきん」と呼ばれる少女たちが作る不思議な秘薬で生計を立てていた。しかし一年に一度、村に「オオカミ」が現れ少女たちを喰い殺していく。オオカミが現れるのは今夜。村に残る赤ずきんは六人。人間以上の知恵と凄まじい身体能力を持つオオカミを天災と考え諦めきっている村人に代わって、猟師は六人の赤ずきんを守るため「魔女の塔」への篭城を画策する……というあらすじ。捕まったら即死亡な絶対的捕食者に追われる恐怖をベースに、不思議な秘薬を駆使したトラップで窮地を切り抜ける頭脳戦、オオカミや赤ずきんたちや魔女の塔にまつわるミステリーをブレンドした、エンターテイメント性の高いホラーとなっております。
この作品の素晴らしい点はまずなんといっても息もつかせぬ怒涛の展開。世界観を一通り説明しきってからは本当にノンストップで読む手が止まりません。中盤、XXがXXをXXしたけれどXXはXXをXXしてXXがXXされる展開は鳥肌ものでした(XXの中身が気になる人は読了後にtwitterでDM送ってください)。いや、ほんと、真面目にネタバレありで話せる場が欲しい。手に汗握る展開が多すぎます。
キャラクターの魅力も白眉です。個性的な秘薬を持つどこか浮世離れした赤ずきんたちや、それと対比するようにやたら人間くさい猟師も良いですが、やはり一番はオオカミ。この作品におけるオオカミは『エイリアン』におけるエイリアンのようなもので、このキャラの出来が作品の出来に直結すると言って差し支えない存在なのですが、見事に仕上がっています。多人数&マジックアイテム複数所持&一晩逃げ切れば勝ちというパニックホラーものとしては割と恵まれた自陣設定なのに、読んでいて全く有利を感じません。強大な畏怖の対象としての役割を十二分に果たしています。
魅力的なキャラクターが織り成す怒涛の展開を支える雰囲気描写も見事です。言語選択および小道具の選択が実に上手い。童話をモチーフしたネタの入れどころも巧みで、ゴシックホラーな世界観が恐怖を煽ります。
総じて、様々な要素が高次元でまとまった完成度の高いパニックホラーです。パニックホラーは調理の仕方を間違えるととんでもなくチープになる扱いが難しい分野なのですが、本作は洋画が得意とする強大な敵の直接的恐怖と邦画が得意とするおどろおどろしい雰囲気の間接的恐怖が高レベルでミックスされており、決して「ありがちなB級ホラー」で終わっていません。夏だし、ホラーコンテストとかもやってますし、文字通り「怖いものみたさ」で気軽に手を出してみて下さい。
そしていつもの。面白い面白くないは感性の問題なので「読んだけど面白くなかった」みたいな苦情は受け付けません。ご了承下さい。
-----「小笠原先輩は余命半年」へのレビュ返-----
如月ふあ 様
この作品、原稿用紙換算で50枚なんですよ。50枚の中でここまでのキャラ立ちとストーリー展開を実現できたのは自分でも結構満足していて、そこを強くお褒め頂いたことは非常に嬉しかったです。ありがとうございます。
-----「僕とぼくと星空の秘密基地」へのレビュ返-----
木遥 様
本作の「ぼく」は子どもであり、マクロな視点で不条理を受け流す大人の処世術を知りません。そして知らないからこそ大人だったら逃げてしまうような過酷な戦いに身を投じ、「勝利」とは言えないまでも、かけがえのない「成果」を得ることが出来ました。その戦いの記録が木遥さんの人生にも何かしらの「成果」を与えることが出来たのであれば、心より嬉しく思います。