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『100日後に別れるかもしれないゲイカップル』あとがき&レビュ返

 3日に1回ぐらいのペースで更新していた『100日後に別れるかもしれないゲイカップル』が連載終了しました。

 https://kakuyomu.jp/works/16816700426798996703

 この作品、正直この後どうなるかは分かりません。一応プロットは編集さんに見せていて好評だったのですが、完成品の感想は全く聞いていないので本当に分からない。とりあえず書籍になる前提で考えている人もいるみたいなので、今そういう状態ということだけ述べておきます。

 個人的には至らなかった点が多いと思っているので、修正してどうにか生かしたいですね。「別れる寸前のゲイカップルが理想のLGBTとしてドキュメンタリー出演する」という筋は目を引くし、パッケージと軸はいいと思うんですよ。ただ中身がごちゃついていて過不足が結構あり、そのくせ志穂軸(志穂、山田、尚美、日出社長)と佑馬軸(佑馬、樹、片桐、久保田)が上手く噛み合っていない。あとドキュメンタリー、デザイナー、アクアリウム、料理などのディテールも弱いですね。ここはウェブ小説という特性から意図的に無視した面もあるのですが、キャラの厚みに直結するので詰めたいところです。

 ……と、作者としては実は反省の多い作品なのですが、読者の皆様はどうだったでしょうか。誰が好きとか、何日目が好きとか、あったら教えてもらえたら嬉しいですね。自分は最終話の「野良猫と通り雨」がお気に入りです。続カノホモの幕間とかもそうだったのですが、こういうストーリーではなくシーンオンリーを切り取って書くの好きみたいです。筆が乗った。

 さて、これだけで終わるのも何なので、作品の裏話でも。

 この作品、実は勘違いから生まれています。『Mr&Mrsスミス』って映画あるじゃないですか。自分あれ、本当に意味わからないんですけど、理想の夫婦のフリをする破綻した夫婦の話だと思ってたんですよ。それを同性でやったら面白いんじゃないかと思ったのが着想元です。ちなみに調べてみたら全然違ったわけですが、どうしてこんな勘違いをしたのかはよく分かりません。

 次にその方針をどう表現するのが面白いか考え、理想のカップルをやっている表側→破綻してる裏側を交互に繰り返す構図が思い浮かびました。本編の志穂視点→佑馬視点です。これはちょっと失敗してるんですけどね。志穂視点の佑馬と樹が早期から不穏な感じ出してる。これは長谷川樹というキャラに「こいつまともに演技しなさそうだな」と思ったからであり、この感覚はおそらく合っているので仕方ない面もあります。

 それで枠が決まったら後は何を流し込むかですが、大枠の構造である「理想の恋人と破綻した実態」に「属性としてのLGBTと現実を生きる個人」をオーバーラップさせることにしました。これは個体差を無視して属性差だけで語られる「多様性」への違和感という、自分の普段の問題意識が出たからでしょう。

 社会が個体差に完全対応することは不可能なので、特定属性に配慮するためにはその属性の最大公約数を見つけるしかありません。ただそれは「不可能だから仕方ない」という話であって「誰一人取りこぼさない」は都合の悪いものを見ないふりしているだけじゃないかと。そういう考えから属性の最大公約数で綺麗に割り切れる春日佑馬というキャラと、1と自分自身でしか割れない素数のような長谷川樹というキャラが生まれ、そこから物語が展開していきました。

 作中では「暑がりな熱帯魚」という風に表現されたような存在は、現実世界にも数多く存在することでしょう。そういう表現をしたこの作品ですら全くカバーはしきれていません。人が頭で考えた多様性は現実の多様性の足元にも及ばない。ただ最低限「存在する」ことだけは認識しておきたいと、個人的には思っています。

 さて次ですが、オフラインはオフラインで書き進めつつ、オンラインにはオンラインにしか行き場のなさそうな短編とか書いて行こうかなと思っています。「オンラインにしか行き場のなさそうな短編」は脳内にかなりストックがあるので、少しずつ放出できたらいいですね。と言っておきながらいきなり長編書くかもしれませんが、そうなってもあまり突っ込まないで下さい。創作はやりたいときにやりたいことをやるのが正解なので。

 では引き続き、浅原ナオトとその作品をよろしくお願いいたします。

-----(「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」のレビュ返)-----

 @harenochimame 様

 ゲイがBL読むのもあって腐男子とゲイの区別はつきづらいですよね。まあ単に決めつけなきゃいいだけなんで、つける必要ないかもしれませんけど。もうだいぶ前のレビューだけど書籍版は買ってくれたかしら。買ってないならぜひ……

 北島 悠 様

 たぶん「普通」の人は「普通の人生なんか歩みたくない」みたいに考えているから「普通になりたい」という願望が理解しにくいんでしょうね。自分の作品を起点に執筆始める人は結構いるのですが、素直に嬉しいです。創作活動があなたにとって善きものになることを祈っています。

-----(「続・彼女が好きなものはホモであって僕ではない」のレビュ返)-----

 @andounatsu 様

 自作があなたの大きな存在になってくれたなら嬉しいですね。それが良い方向に機能するものでありますように。映画視聴もありがとうございます。

-----(「小笠原先輩は余命半年」のレビュ返)-----

 碧azure 様
 
 語り口の効果は狙っているので刺さったなら良かったです。こうはなれないし、なれなくていいんじゃないかな……でも個人的に小笠原先輩のキャラは気に入っています。いつか長編化したい。

-----(「100日後に別れるかもしれないゲイカップル」のレビュ返)-----

 凪海帆風 様

 なんか最終的にLGBTQ云々とはだいぶ離れたところに行ったけど楽しく読んでくれたかしら……とりあえずレビューありがとうございます。楽しめてますように。

 shoma520 様

 気合の入ったレビューありがとうございます。世間のイメージと実態の対比みたいなものは一つのテーマではありましたね。といってもガチのリアルは数倍アレだと思いますけど(とりあえず樹は佑馬と同居しながら他の男とも出会いまくってるはず)。これからも既存のイメージに乗らないようなものを書いて行きたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

2件のコメント

  • ありがとうございます!

    浅原先生にコメントしていただけるなんて光栄です。

    これからも頑張ってください。

    陰ながら応援させていただきます。
  • 北島 悠 様

    こちらこそありがとうございました😉。応援よろしくお願いします
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