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隠れ名作を見つけた4&レビュ返

 ★やPVの少ない作品に絞り、僕が気に入った作品を紹介する「隠れ名作を見つけた」のコーナー第四弾。第三弾からあんまり間が空いてないなーと思って確認してみたら二ヵ月近く経ってました。おかしい。時が経つのが早すぎる。知らないうちに時空の捩れに巻き込まれたのかもしれない。

 今回取り上げる作品は長良黄泉さんの「カクヨム鉱山採掘日誌(https://kakuyomu.jp/works/1177354054881522061)」で紹介されていて知りました。本当、タイトルを「隠れ名作を教えてもらった」に変えた方がいいですね。自分で見つけたの最初の一作だけだし。でもやっぱり感性合う人のレビューや紹介を追いかけるのが一番良作を見つけやすいんですよ。つうか検索は使えな(自主規制)

 さて、紹介する作品はこちらです。

 「キツネ・サマー・サヨナラ」 うさぎやすぽん著
 https://kakuyomu.jp/works/1177354054881875783

 とりあえずレビューに書いた作品あらすじをそのまま持って来て説明しますと、京都以外の街が存在しない世界に住む内向的な少年が奈良も大阪もある世界からやって来た外交的な女子大生と出会い、今まで知らなかった花火やお酒や恋や世界の真実に触れる様を書く青春ファンタジー小説です。いわゆる胸キュンボーイミーツガールもの。僕のカノホモと同じですね。同じって言ったら同じなんですよ(半ギレ)

 これもレビューに書きましたが、本作最大の魅力は筆致の瑞々しさです。

 作者様の近況ノートを見ると公募で賞を受賞したと書いてあるのですが、これだけの筆力があるならさもありなんといった感じです。京都どころか西日本にほとんど行ったことがなく、暑いのは苦手だから夏はあまり外に出ない僕が言うのもどうかとは思いますが、作品世界に入り込んで登場人物たちと一緒に京都の夏を体験しているような気分を味わえます。カラカラの太陽が照りつけるアルファルトが放つ熱気とか、そんな中で飲む冷たい瓶コーラの救世主みたいな喉越しとか、宵闇を明るく照らす花火の幻想的な美しさとか、その光で仄かに輝く気になるあの人の薄く汗ばんだ肌とか、そういうもののイメージが鮮明に湧いてきます。

 キャラクターも良いです。無意味にルー大柴風に言うとボーイミーツガールものはボーイがミーツするガールのキュートさがグッドなノベルをメイクするキーだと思いますが、本作で主人公の少年が出会う安曇野さんは僕的にその要求にきちんと応えています。主人公の少年(14歳)からすると女子大生の安曇野さんはだいぶ年上になるのですが、年若い主人公よりもずっと気取らず飾らず自由奔放に動く快活で素敵な女性です。それでいてたまに主人公に人生を諭すお姉さんぶりを発揮するところもいい。男が少年期に夢見る「憧れのお姉さん」のポイントを的確に抑えています。

 主人公の少年のキャラもいいです。こしゃまくれていてかわいい。温かい目で見守りたくなります。他にも、破天荒でマイペースで強引でそれでも憎めない少年の父親とか、安曇野さんとはまた違うときめきを少年に与える素直に愛らしい二つ上の女の子とか、人外のくせにやたら人間くさくて親しみやすい狸の神様とか、魅力的なキャラクターがたくさん揃っています。これだけ魅力的なキャラクターが揃えば、もちろん作品は魅力的な雰囲気を放つようになります。彼ら彼女らの夏を追いかけたい。そういう気持ちにさせてくれます。

 一方、ストーリーラインはなかなかヘビーです。

 キャッチコピーとプロローグがのっけから不穏な気配を予感させていますが、予感通り終盤は不穏なことになります。主人公の少年が「京都以外の街が存在しない世界」の真実と向き合い、物語は胸キュンボーイミーツガールから大きく離れてうねります。

 この作品、今は★9で僕がレビューする前は★6でした。これはとても妥当な評価とは言えません。この近況ノートを読み「面白そう」と感じたならば、是非お読み頂ければと思います。

 なお毎度毎度言っていますが面白い面白くないは感性の問題なので「読んだけど面白くなかったぞ時間返せクソバカ」的な苦情は受け付けません。ご了承下さい。


-----「彼女が好きなものはホモであって僕ではない」のレビュ返-----

 山西音桜 様

 後からレビューを頂いたようでありがとうございます。この作品は「現実」を意識して書かれていますが、世の中に溢れ返る創作BLを「現実と違う」と言って目くじらを立てるのではなく、違うことを理解しつつ共存出来たらいいなと勝手に思っています。


 坂口修治 様

 教科書に載ってもいい、同性愛への理解を深めるのにぴったりと他ならぬ坂口様にそう言って頂けるのは大変心強いです。事実、本作を読んで理解を深めて頂いた方も数多くいるようで、そういう作品を生み出せたことを誇りに思います。

2件のコメント

  • 読んでみます(^o^)
  • 是非……と言おうとしたらもう読み終わってますね。早い
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