誰がどう見ても温泉街は、熱海なのです。
「A市」といった代替案も考えましたが、結局、それも控えました。
匿名化した最初の理由は、芸妓と芸者の呼び方の違いです。
お江戸の吉原が神格化した後、関東一円で「芸者」以外の名称は流通していないはずで、都内からの客が多い熱海も同様だったと考えられます。そもそも「芸妓」は京都の専有で、関東以外の列島各地も「芸者」が一般的で、京都以外の関西地方では「芸子」とも呼ばれます。
ところが、熱海の歴史などを調べている最中に『熱海芸妓見番』のウェブサイトが検索でヒットしました。芸者じゃなく芸妓なのか…それによると、現地での名称は「芸者」で、修行中の芸者さんは「舞妓」ではなく「半玉」と吉原風の呼び方。なんだか込み入って参りました。
表現上は芸者・半玉が適切ですが、芸妓・舞妓の字面的な風流さも捨て難い。ノンフィクションではないので、これはギリギリ作者の趣味で済ませます。
問題は、観光用とは言え「熱海芸妓見番」が今もあって活動していることです。実在する組織・団体に該当します。作中では見番が花街を牛耳っていて、任侠の徒とも近しい関係にあるような描写があります。当時の実態はともかく、今で言う反社会勢力です。これは、よろしくない。悪いイメージを植え付けて、ストレートに偽計業務妨害なのです。嫌な予感がしないでもないので、場所を匿名に変更しました。
本日、予定外の二話をエントリーして、十万字を越え、話題のカクヨムコンに参入しました。読者選考のリミットまで一週間余り…野球なら九回裏、サッカーなら後半のアディショナル・タイムなのです。
『曲藝團』も後半のターンに入って、ネタバレに注意を払う段階となりました。その為、エピソードのタイトルが若干、曖昧なものに変化します。たぶん、ひとつひとつのエピソードを要約してタイトル化すると粗筋そのものになってしまうかと。
こういった次第で、今後ともよろしくお願い致します。