淺羽一

　は？ いや、確かに俺は ※※※※ だけど？ え、王宮に来い？ ていうか、おたくどちらさん？ うちは単なる農家だぞ？ 来るところ間違ってるんじゃ……王様の使い？ あぁ、いやまぁ、…

純朴な日本人デザイナーの男と、夢を叶える為に来日したアニメ好きのロシア人美女。 愛すべき2人の友人の出会いを“そのまんま”小説にしました。 下手な脚色や改変、演出は一切無し！ …

2017年11月22日から、翌月の22日までの1ヶ月。Twitter上で毎日、“1日分”ずつ更新されていた「リアルタイム小説」の総集編です。 連載当時は全てTwitterの制限に…

歳の数だけケーキに挿された運命を見て苦笑した。どうやら私もずいぶんと大人になったものだ。そしてそれはつまりそのまま私と彼の関係の長さを示していた。

「イラストが上手になりたいなら、どうすれば良いのかな」 「答えは簡単、筋トレをしよう」 筋トレ大好きっ子で、また大人気イラストレーターでもある友人に、イラストを描く為の秘訣を聞…

　空からはしんしんと雪が降り、吐き出す息さえ凍ってしまいそうな寒い夜、しかしそれでも街を行き交う人々の顔には温かな笑みが浮かんでいました。なぜなら、今日はクリスマス‐イヴです。家…

数多くのゲームやアニメなどの関連作品に携わり、またオリジナル作品でもステーキの絵やマッチョなキャラクターなど、"リアルよりもリアル"なイラストや3DCGで大人気の、イラストレータ…

カクヨム自主企画で、少し興味を惹くものを見付けましたので、作業の合間に参加させて頂きました。 ※企画 https://kakuyomu.jp/user_events/117735…

「だから、言ってるじゃない。あんたの事なんて、別にどうでも良いんだって――」 〈生死の縁を彷徨っている女子高生が、あの世とこの世の境目で、息を吹き返せるか、それとも死んでしまう…

　その昔、温暖な気候に恵まれた山間の村に、焦げ茶色の髪の毛と瞳が愛らしい牧童の少年が住んでいました。

　その昔、まだ人々が動物の祟りや山の神様などを本当に信じていた頃の事、ある山外れの村に一組の老夫婦が住んでおりました。二人は貧しく、決して贅沢をする事は出来ませんでしたが、それで…

　それは海を隔てた遠い異国での事、そこにはとてもとても困った王様がおりました。 　そもそも王様と言うものは国で一番に偉くて、一番のお金持ちで、そして一番忙しい人であるはずなのでし…

　それは今よりもずいぶんと昔の頃、海沿いの小さな村に暮らす若者の中に浦島太郎という名の心の優しい男がいました。

　今となっては昔のことですが、竹取の翁というお爺さんがいました。お爺さんは野山に入っては竹をとり、色々な品を作ることを仕事としていました。

　地上では春一番が梅の香りを運ぶその日、真冬の湖の上に積もった新雪さながらにふわりと白い雲の上では、釈迦如来様を初めとする仏尊の歴々が陽光よりも眩い後光によって年に一度の晴れの舞…

　左足ばかり傷みの早い靴を眺めながら思い出した。ＡＶ女優のスカウトマンは街を行く女性の靴を見るらしい。

「犯人はあなたです」 　効果音があればびしっと鳴っただろう、反った指先がいっそ上を向くくらい人差し指に力を込めてＳ氏に向けてやると、彼は急に顔面を青ざめさせて震えだした。ペンショ…

　朝、昨晩に何を食ったのか胃の調子がすこぶる悪く、ベッドから降りてとりあえず家を出た。 　裏口の前には畑がある。けれどそこに薬になりそうなものは何も生えておらず、代わりに白い兎が…

　お前ほんまけったいな喋り方やな。いきなり言われて戸惑った。 　だって、単語の意味こそ分からなかったものの、おそらく褒め言葉で無さそうだとは感じられたからだ。ましてや、さらに続け…

部屋の窓から外を見ていたら歩きたくなった。

彼が自殺した日はみんなが等しく「一体どうして」と言って泣いた。

　今日、久しぶりに訪れた会社の食堂を歩いていたら、こんな声が聞こえてきた。「マキちゃん、いよいよ駄目なんだってな」

一太はずっと女の様子を眺めていた。途中、何度か話し掛けてみたり、名前を尋ねてみたりしたけれど、女は食事に夢中でほとんど聞いておらず、ようやく顔を向けたとしても何も理解していないの…

　出し抜けにインターホンが鳴ったのは、いそいそと出かける支度をしていた時だった。 　待ち合わせの時間まで、まだ十分すぎるほどに余裕はあるが、かといって関係のない来客に邪魔をされる…

さぁ、いよいよ始まりました、第一回全国ストーカー選手権大会。

　その獣はいつも一匹でいた。真っ黒い毛むくじゃらの体に乱暴そうな四肢の爪。剛毛に埋もれてしまって簡単に消えてしまう小さな目と対照的に、不揃いの牙が並ぶ口は顔の半分くらいを占めるほ…

　前略。 　姉さん。私は、あなたに告白しなければならない事があります。

　ある時、大きな戦場を雲の上から眺めながら、神が盃を片手にこんなことを決めた。 『飽きもせず殺し合う人間達の姿を見るのにも、飽きてきた。そろそろ、この戦争も終わらせよう』

たまたま「同じ内容の小説を"文字数"を変えて表現しよう」と言う自主企画が目に留まりまして、そちらへ参加させて頂く為、特別に公開済みの掌編小説「ロレンス」を"内容はそのまま"に「3…

　彼女は押入に住んでいた。幅１・８メートル、奥行き９０センチ、要するに畳一枚分の床の上に許された高さおよそ１メートルの薄暗い空間が彼女にとっての世界だった。

「お前の世界を変えてやる」 　そう言ってあいつは逝った。まだほんの二週間前に十五歳になったばかりで、将来にやりたいことだって幾つもあると語っていて、しかもそんな時は決まって眩しい…

　何の前触れもなく、突然に玄関の前に現れた女の姿に言葉を失った。彼女は睨み付けるみたいな眼差しでこちらを見据え、「とりあえず、中に入れてよ」と言った。

　空を見上げると、そいつはいよいよ限界だと思えるほどに大きくなっていた。 　恐怖なんてもうとっくに通り過ぎてしまって、おそらく笑みが自然に浮かんできた。幾人もの人間が行き交う平日…

　せっかくのデートだと勢い込んで花束を買っていったら、やがて待ち合わせ場所の駅前に現れた彼女は開口一番、「……私さ、花粉症だって言ってなかったっけ」

　私事で恐縮だが、私は今日、生まれて初めて年頃の異性と「でぇと」なるものをする。この世に生を受けてもうじき二十と一年。これまでに二人きりで出掛けた女性など母親か祖母くらいしかおら…

　女子にとってバレンタイン‐デーが戦争なら、モテない男子にとってのそれは冷戦だ。

　鈍色の鱗に覆われた指の隙間から覗く王女の顔は、生気を失ったように瞳を閉じていた。 　王子は王家に伝わる宝剣の柄の感触を確かめながら、自身の背丈の何倍もあろうかという竜と、それに…

「一番はやっぱ醤油だろ」 　酒の席で出鱈目に飛び交う単語の、一体どれがその話題を呼び寄せていたのか定かでないが、少なくともその一言がきっかけになったのは間違いなかった。

　男と別れる感覚は、夢から覚める感覚に似ている。

　自慢じゃないが僕は誰かを好きになる事に慣れていても誰かから好きになられる事になんて全くと言っていいほど慣れちゃいない。だから今みたいにこんな風に何の連絡も無くいきなり下駄箱に手…

　昔、ある国のある町に一人のピエロがいました。

This is a fantastic short story written in English or Japanese for who wants to study Jap…

　もしもあの月にたった一つだけ持って行けるとしたら。 「冷蔵庫」 　それが彼女なりの答えなんだと理解する為に、少なからず精神力を必要とした。

　ねぇ、Ｍｒ．ロレンス。君は覚えているかい。僕が初めて君に手紙を書いたのは、丁度あんな風に晴れた夜空に浮かぶ月がお日様みたいにまん丸で、僕がこの世に生まれ落ちてからぴったり十五年…

「人魚姫ってさ、ハッピーエンドやん？」 　やる気の出ない合コンで不意に聞こえてきた言葉に、私は思わず目の前の生春巻きを解体する作業を中断して顔を上げた。

小学五年生の秋、季節外れの転校生としてやってきた岸村に、僕は生まれて初めての恋をした。

「ベニスビーチって知ってるか？」 　何それ、ヨーロッパ？ 「馬鹿、ベニスの商人じゃねぇよ。ベニスビーチ。ロサンゼルスにあるマッチョの聖地！」 　こいつはすぐに僕を馬鹿呼ばわりする…

キッチンにある冷蔵庫の中で繰り広げられる、“彼ら”の恋物語。