好奇心旺盛な仔羊の怪我という些細な出来事が、少年の恐怖心を呼び、狼の存在だと信じ込ませ、結果、それが嘘となる。初めから嘘をつこうと思ってついた訳ではなく、恐怖、虚栄、孤独、そして周りの人々の少年に対する態度が、最後に起きるどんでん返しな出来事まで引き起こしてしまう。これって現代の私達にも起こりうることで、この淺羽一さんの『新釈 狼少年』を読めば、誰の心の中にも狼少年は潜んでいると思うのは私だけではないと思う。
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