作家は他人の人生を剽窃する。ノンフィクションほどそれは顕著で、だからこそ身近すぎる人間のノンフィクションなど、忌み嫌われるものだ。しかしそこに砂粒ほどの悪意もなく、ただ他人への愛があれば、それは見事なラブレターへと変わる。そしてそのラブレターは、別の誰かに幸せをおすそ分けするのだ。