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『魔法少女 ミラクル★オラクル』設定メモ1

※作者が自分で使うためにまとめた設定テキストのため、読者向けに整えられていない点はご容赦を。

【超現実物質(メタリアル・マテリアルズ / Meta-Real Materials)】
 亜空間“カブラの狭間”より実相化(マテリアライズ)してくる異界の物質。
 この“狭間”とは「存在と無のあわい」であり、存在確率を有しながら現実には存在していない事物の
可能性がプールされる、宇宙の水面下的領域である。通常空間と重なるように拡がっているが、
そこに渦巻く非存在たちは存在確率が閾値に達していないため、基本的には知覚できない。
(まれに“狭間”の住人を捉える鋭い感受性の持ち主がおり、霊能力や精神疾患と解釈されている)

 超現実物質の性質は一様でないが、共通する要素に「実相化した系全体が単一の波動としてふるまう」
というものがある。言い換えると、超現実物質は古典物理的手段では決して破壊できない。
通常物質のように粒子の集合として構成されていないため、分割できないのである。
 通常物質が確実性を持って存在するのは、系を構成する無数の粒子がそれぞれ干渉し合うことで
動きを制限され、全体としての波動関数が収縮・安定する(量子ゼノン効果)ためである。
しかし超現実物質は巨大な一個のソリトン(粒子性孤立波)であるため、このような
相互作用による存在確率の安定が望めない。ゆえに何らかのきっかけで実相化することがあっても、
すぐに確率が閾値を下回り、通常空間から消滅(=“カブラの狭間”へ落下)してしまう。
実相化の際に獲得したエネルギーが少ないほど、存在確率の拡散も早い。また複雑な物理系や
巨大な質量は実相化に必要なエネルギーの揺らぎも大きくなるため、通常空間に現れることは
事実上ないと言っていい。(あっても存在時間が短すぎて知覚できないことがほとんど)

 超現実物質の存在確率を維持する方法は“観測”である。
 波動性のみを持つ超現実物質は、“観測”に反応してその波動関数をわずかに収縮させる。
観測というのは便宜上で、厳密には「量子デコヒーレンス(QD)波の共振」に反応するのだが、
知性ある存在者の脳(またはそれにあたる思考器官)は特にこのQD波を多く発振する。
そしてQD波が共振を起こすような波形となるためには、超現実物質に観測者の思考が
振り向けられている必要がある。まったく関係ない犬や食事のことを考えていても共振は起こらない。
人間の脳の場合は、強い感情などを伴う思考から最も強力なQD共振波が得られる。

 あらゆる可能性がプールされる以上、当然ながら“狭間”には「生物の可能性」も棲んでいる。
たとえば龍は空想上の生きものとされているが、実は存在確率を持っており、頻繁に実相化している。
人間がめったにそれを認識できないのは、実相化時間がフェムト秒以下であったりして
認識できないためである。ごく稀に認識可能な個体が現れても、幻覚や自然現象として片付けられてしまい、
結局は存在確率を維持するほどのQD共振波が得られず、また“狭間”へと落ちて行く。
 しかし、仮に実相化の際に充分なエネルギーを獲得しているならば話は違う。
充分な活動時間を確保し、その間に人間や他の生物の注意を惹くことで、彼らは観測され、
存在を永らえることができる。
 最も簡単に高効率の共振を得る方法は、観測者に恐怖を与えること。
 QD波発振能力が地球上で最も高い生物は人間。
 それゆえ、非存在生物から人類へのアプローチは破壊的なものとなることが多い。

 20XX年、軌道上に開いた量子揺動真空“門(ヴァロータ)”から現れた非存在生物たち――
通称“戒獣(コマンドメンツ)”は、何らかの理由により高いエネルギー準位で実相化。
己の存在を懸けて人類文明を脅かす、異次元の生体災害と化した。
 なお、彼らは各々固有の特殊能力を持っているが、その根本は指向性QD波の投射による
波動関数崩壊ベクトルのコントロールであり、共通の干渉作用が別々の現れ方をしているに過ぎない。

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