メイン勢力設定その1。
毎度のことながら、今後の設定メンテで内容が変わる可能性は常にあり。
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【統一銀河連邦】
五百以上の星系・二千以上の国家による連邦制を敷く、人類史上最大の統一政体。
前身は“大喪失”によって太陽系を追われた難民たちの「統一船団連邦」であり、
これが銀河系各星域へと拡散しながら惑星の開拓やコロニー建設を進めていった。
船団主群が現主星系〈天軸界(セレストラル・サイド)〉へと辿り着き、ここを人類宇宙の新たな中心とすることを定めたとき、役目を終えた船団連邦は銀河連邦へと名を変えた。本編より千年以上前のことになる。
銀河標準暦1014年現在は、権力構造の最上部が腐敗し切って硬直、反連邦勢力の台頭を招いている。
星間企業と銀河貴族。それに牛耳られた政府とCJPO。彼らが平和の代償として人類に押しつけた永き停滞の中で、経済的・文化的な貧富の格差は緩やかに拡大と硬直化を続けた。いつしか星々の間には天地よりも遠い分断と、未来なき営みの無気力と、不変を強いられた時代への閉塞感が蔓延していた。
また連邦は、それまで圧倒的な技術格差を背景に、シングラルなどの超兵器を用いて反体制派の弾圧を繰り返してきた。その結果、問題を長期の働きかけで宥和的に解決するよりも、手っ取り早く武力で片づける武断統治に慣れ切ってしまっている。
そうした歪みの蓄積が、数世紀に及ぶ“解放星団”との内戦状態を慢性化させ、さらには
ニコラス・ノースクリフなどの反体制的活動家が民衆に英雄視される土壌ともなった。
このような現況を変革すべく、連邦内部からも複数の勢力が現体制に取って代わらんと
動き始めており、内外からの圧力が遠からず何らかの“限界”を迎えることは避けられない情勢にある。
その結末が希望に満ちた新時代の幕開けとなるか、さらなる暗黒時代への失墜となるか、あるいは人類文明そのものの終焉となるかは、未だ誰も知らない。
【連邦統合治安維持機構(CJPO)/“メガリス”】
市民の大半、公務員でさえも「連邦軍」という俗称を使うことがあるが、公式には統一銀河連邦に「軍隊」は存在しない。建前上、連邦は人類文明全体を包括しているのであり、外敵に対抗するための軍事力というものは保有する必要がないからである。
(異種文明からの攻撃、という可能性はあまり真剣には考慮されていない)
しかし権力を担保するものは最終的には武力であり、また絶えず生起する反連邦活動を鎮圧粛清すべく、事実上の軍隊とも呼ぶべきものは要請される。そこで、連邦警察に“高強度犯罪対策部門”なる新部署が設置され、ここが軍の機能を担うこととなった。
一部門といっても、規模はそれ以外の警察全部署を合わせたより巨大なもので、政府高官や企業群との太いパイプを持つ高強度犯罪対策部門が連邦警察全体の実権を握る流れは避けられなかった。
やがて組織再編が進み、警察機能の方が軍機能に従属する形で、組織内の指揮系統が統合される。警察の権能と軍の武力・高圧性を併せ持つ、史上最強の暴力機構の誕生である。
正式名称は“連邦統合治安維持機構(Confederation's Joint Peacekeeping Organization)”に変わったが、人々は建前など無視してCJPOを「連邦軍」「軍警察」と呼び、あるいは“メガリス”と呼んだ。メガリスとは考古学などの用語で「(有史以前の、単一の)巨石」を意味するが、連邦統合治安維持機構を指す場合は「警察を超越した巨大権力」の意で用いられる。「ポリス」と「メガリス」で韻を踏んだ、諷刺的な渾名である。
CJPOの階級は軍の形式に準拠しており、上から監帥(総大監帥、大監帥、監帥)、邏将(上級邏将、邏将、邏将補)、巡佐(一等~三等)、哨尉(一等~三等)、衛曹(衛曹長、衛曹、衛曹補)、警兵(警兵長、一等警兵、二等警兵)まで存在する。
外部の人間が一次的にこの指揮系統に組み入れられる場合は、当該人物の地位や役職に応じて「二等哨尉待遇」「衛曹待遇」など仮の階級が割り当てられる。傭兵なども一応はこの「待遇階級」が与えられるが、実際は指揮系統の外に置かれていたり、二等警兵以下の扱いを受けたりすることも多い。減刑と引き換えに徴兵された囚人、いわゆる“グラディアトール”は階級ではないため、懲罰特務兵の肩書とは別に各々の相当階級を持っている。
枠に囚われず優秀な人材を最大限活用するためとの名目で、特に優れた戦果を挙げた者には「ライセンス」が授与される。これを持つ者(ライセンスホルダー)は、事後にレポートを提出する義務の下ではあるが、現場では独自判断に基づく行動を取ることが許される。
事実上、通常の指揮系統外に置かれているのに等しく、傭兵やグラディアトールと同様
戦争犯罪の温床と看做されている。メガリスの腐敗を象徴する制度、と批判されることも。