笹野屋 小太郎

それは吸血鬼と少女のはなし。 夜分にあたしは病室を抜け出した。 耳鳴りしかしないはずの耳に、新しい音が混じったから。 波音が響く先、たどり着いたのはうつくしい少年とかたわらにはソ…

雨の降る冬の夜に思い出すのは、会いたいけれど会えない人。 先生と私は、付き合ってたとかそういうのじゃなかった。だけど、普通の教師と生徒とは少し違った。 ６年前の物理実験準備…

テーマは眼鏡萌えでした。

私、朝霧志保は妖怪を見る事ができる。妖怪の……友人だっている。 だけど、私達が一緒にいられる時間はもう残り少なくなっていた。私の中にある妖怪を見る力は、次第に失われつつあった。…

社交界も四年目。 周囲に行き遅れとバカにされていた、男爵令嬢のヴィヴィアンにも見合いの話がくる。 だが、相手は親子ほども年の離れたロートン準男爵。 男爵という正式な貴族の地位と領…

フェディオン王国商工業省に勤める女官のシャイラは、ある日、突然、王妃候補として国王のもとへ派遣される。しかし、国王カルダーン三世は美しい貴族の娘たちを追い出したり、よくわからない…

篠崎が星井と成人式で再会してから七年が経った。七年の空白が開いて、久しぶりに篠崎に星井から連絡が来た。篠崎は星井からの連絡を訝しんだが、かつての友人に対するよしみと『ある思い』を…

メイリーアはお菓子が好きなちょっぴりお転婆な普通のお姫様。 ひょんなことから口は悪いけれど凄腕菓子職人アーシュのもとで働くことになってしまった！ 王女と売り子二足のわらじを頑張…

大聖堂の祭壇前、ステンドグラスの淡い光に包まれた血塗れの兄・ハインリヒの亡骸。 妹・ユリアーネは、正面から剣で刺し貫かれたその傷を見て、“騎士隊”の誰かの手により兄が殺された事を…

「一年間女であることを隠して王子の侍従を務めることができれば君は自由だ」兄から持ちかけられた無謀ともいえる賭けにのり、侯爵令嬢レカルディーナが訪れたのは王宮ではなく、なぜだか郊外…