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完全に読書モードに入っている!の巻

私も「カクヨム甲子園」にエントリーするぞ!と、やる気満々でいた。

7月頃までは……。

しかし、今はすっかり読む方のモードに傾いている。昨日も読書会の課題図書について考えているうちに、図書館で何冊も借りて、あれこれ読みふけってしまった。

ちょっとその何冊かを紹介してみます。

まず北村薫の「八月の六日間」。これは四十歳前後の女性が山歩きをするという連作短編集で、先月の読書会でとりあげた登山に関するノンフィクションが好評だったので試しに最初の一作だけ読んでみたら、予想外に良かった。

ただ山歩きをして、頂上に着いて、下山する途中でちょっとトラブルがあって、何が起きるという訳でもないのだが、その過程でいろいろと過去のことを思い出したりする。筋は平板だが小説としては良作で、ちょっと最近感じなかった充実感を得た。平易で女性向きで、男が読んでも引き込まれる。めちゃくちゃ読書会向きなので課題図書に決定。

次は開高健の「歩く影たち」。ベトナム戦争に関する短編集で、長編小説「夏の闇」「輝ける闇」と重なる部分がちらほらあるが、文章が上手くて酔わされる。

ルポだか私小説だか、随想だかノンフィクションだか、いずれでもあるような書きぶりだが、それこそが小説というジャンルの特質でもあり、短編小説として代表作扱いを受けている作品がいくつもある(「玉、砕ける」は川端賞)。これも実に素晴らしいので課題図書に決定。

それから丸谷才一の本を読んでいたら、坂口安吾の信長について書いた小説が面白いと書いてあった。特に夫婦の会話が良いということで、引用してある文章が面白かった。

「読書会の課題図書にするか否か」の判断をするために、未知の本を読んだり、既読の本を読み直したりしていると、悪い意味で書き手の我の強さに当てられて疲れることも結構あるのだが、安吾の文章はウジウジしたところがなく、頭がさっぱりする。それで「織田信長」をキンドルで読んでみたら、やはり面白い。ところが丸谷才一が引用していた夫婦の会話がなかったので「あれ?」と思って調べると、「織田信長」という短編と「信長」という長編があって、夫婦の会話が出てくるのは後者なのであった。

カニグズバーグの「クローディアの秘密」、村上春樹の「色彩を持たない多崎つくると~」、宮本輝の「蛍川」なども少し読む。これらは今のところ保留。それから読みかけの本では岩波文庫の「世論」、これがたいへん良い。ゴンチャロフの「日本渡航記」も面白い。

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