相変わらず月に一回のペースで、自分の主宰する読書会を行っている。
比較的順調に進んでいて、人数も増えてきて、うんと困った問題は特にない。本を選ぶのも以前は「無理ゲー」に近い感触を持っていたのだが、今は参加者の感想やアンケートほかを参考に選んでいるし、次第次第に人間関係もこなれてきて、せいぜい選書の難しさはパズル程度、詰め将棋でいうと三手詰めレベルくらいである。
で、昨日も例会があって、時代小説のアンソロジーの感想を聞いた。
驚くべきことに「山本周五郎を熱烈に好きになった」、という参加者がいて、この主人公の職業に関する矜持がたまらんとか、ある女性Aとくっつくかと思っていたら別の方に行っちゃって意外だったとか。
確かにそれはもう「山本周五郎あるある」と言ってもいいくらいで、特に「ヒロイン候補ではなく二番手、三番手の女性と……」という流れは、漫画「柔道部物語」でもあるし、私の見るところではあの「スラムダンク」もちょっとそれをやりかけていたように見える。
それは余談だが、とにかく山本周五郎の力を思い知らされた。「どうして山本周五郎は直木賞をとれなかったんだろう?」という質問に「断ったからですよ」と教えてあげたら「ますます好きになった」と興奮していた。
次回は倉橋由美子なので、そっちの解説もしてみた。自分は昔から倉橋由美子が好きなのに、考えてみると人前で一度も説明したことはなかったし、まあ話題にすらしない(できない)。話を聞く側も、おそらく一生のうち最初で最後の機会ではないだろうか。そう考えると貴重な経験であった。