「記憶が失われていく」を含む小説

　最愛の妻に看取られ、人生の幕を閉じた男が目覚めたのは、草原が広がる静かな天界だった。 　現れた角の生えた謎の男は告げる——「君は十二の扉を開けねばならない。代償に、ひとつずつ記…

グローバル・インシデント・アライアンス――通称GIA。 世界中の異常事件を調査・記録する組織に所属する記録官、オスカー・ヘイズ。 これは彼が唯一“正式に記録できなかった”事件につ…

鮎川翔は、若き小説家としての夢を追い続けながら、売れない日々を送っていた。脳卒中と心筋梗塞の後遺症に加え、若年性認知症が進行しており、記憶を保つことが日々困難になっている。体調…

「私たち、きっとずっと一緒よ」 「うん、たとえ記憶が消えても――」 　光のエルフのリアーネと闇のエルフのヴァエリア。 　禁断の愛を育んだ二人に下された呪いは、記憶を失うという残…

「ねえ、トモくん」 そう呼ばれた日から、僕は僕じゃなくなった。 十四歳に戻ってしまった母。 僕を“彼女の彼氏”だと思い込んだまま、時間だけが止まっていく。 名前を奪われた少年…

　君の記憶が失われていく度に、僕の鼓動は少しずつ聴こえなくなる。 　僕が死んでも君は忘れる。 　僕が万が一にでもこの世界から消えたとしても、君は僕のことを知らないまま世界を生きて…

谷口智也（たにぐち　ともや）が語る、とっておきの怖いお話。 高校三年生となり受験シーズンを迎えた智也は、小説を読みながら、ふと思い出す。 ――夏目。 それはもういない友達の名前…

　全世界にまん延したウイルスによって人と人とが寄り添えなくなった時代。爆発的に進化した技術とは、ウイルスに感染しない、ロボットの技術だった。 　親しみと癒やしを渇望した人間は、無…

私は、あいつを殺さなくちゃいけない―― 少女はとある町で電車を降りた。雨の降りしきる駅を出た時、彼女はもう、自分が誰を探していたのかすら思い出せなかった。 大切な記憶から失われ…

　ある日を境に、私の彼高木祐輔は、次第に物事の記憶が失われていく病にかかった。 　若年性アルツハイマー型認知症を疑われたが、機序が当てはまらず、それではないという結論に。 　以…