「文化文政」を含む小説

【あらすじ】 文政三年。歌舞伎役者、三代目・坂東三津五郎（ばんどうみつごろう）は悩んでいた。演目「玉兎（たまうさぎ）」にて、兎、爺、婆、狸の四役の演じ分けをしなければならないから…

　吉原遊郭の振袖新造、さらさは姉貴分の唐織（からおり）花魁とその情人の清兵衛に憧れていた。唐織が身請けされた後、姉に代わって清兵衛に通われるのがさらさの夢だった。 　遊女が囁く愛…

巳之助の母親であるお佐紀は、出来上がった内職の縫い物を届ける途中で探していた男を見つけた。今は比企総一郎と名乗る、初老の武士である。彼女の故郷を逐電したその男は、江戸の片隅にある…

母親の再婚により町人から武士になった宗太。過去の痛ましい事故の後遺症に悩まされる清二。口煩い母親に縛られる巳之助。再婚相手の母親に馴染めないお園。それぞれの葛藤を乗せて猪牙舟は進…